2025.03.30 17:00
スマホで立ち読み Vol.37
『きょうからできる愛天愛人愛国の生活』1
阿部美樹・著
スマホで立ち読み第37弾、『きょうからできる愛天愛人愛国の生活』を毎週日曜日(予定)にお届けします。
本書は、愛天愛人愛国が生活の中で実践できるようにまとめられた一冊です。
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はじめに——幸せに生きる人生観
人は誰でも素晴らしい人生、充実した人生、幸福に満ちた人生を求めています。人の個性はそれぞれ様々ですが、幸せを求めるという点は共通しています。では、どうしたら充実した素晴らしい人生、成功した人生を歩むことができるのでしょうか。歴史に名を残した偉人や義人の人生には、どのような特徴があるのでしょうか。会社を興し、大きな事業に成功したような人々の成功の秘訣(ひけつ)は何でしょうか。幸せな家庭生活を過ごしている人の幸せの秘訣は何でしょうか。
このような人たちは運にも恵まれ、能力も備わっているようにも見えますが、それ以上に大切な点は、「本質的な理念をもっている」とか「高い志をもっている」ことではないでしょうか。
例えば、西郷隆盛という人物がいます。彼は「敬天愛人」という言葉を残しました。西郷は「敬天愛人」の理念をもって人生を生きたのです。
西郷隆盛の言葉を紹介しましょう。
「人それぞれには、天から与えられた『天命』というものがあり、それに従って、人は生きているのである。だからこそ、人はまず天を敬うことを目的とするべきである。天というものは、『仁愛』すなわち人々を平等に、かつやさしく愛してくれるものであるので、『天命』というものを自覚するのであれば、天が我々を愛してくれるように、人は自らも他の人に対して、天と同じように、『慈愛』を持って接することが何よりも必要である」(西郷南洲顕彰会発行『南洲翁遺訓』より)
西郷は生死の境を通過しながらも、いろいろな境遇を通じて、天が自分を生かしてくれる間は、自分にはまだやらなければならないことがある、と受け止めました。そして、「人は天命というものを天から与えられ、それに従い生きている」という考え方が、西郷の心の中心にありました。
経済界の偉大な指導者の一人に京セラの稲盛和夫名誉会長がいます。その京セラの社是が「敬天愛人」です。彼は次のように語っています。
「サムシング・グレートとか全知全能の神という概念を置き、それは『ある』としなければ、宇宙そのものの説明さえできないのです」。
「創造主は最初の意思を与えてくれた。最初の意思とは『すべてのものを幸せな方向に進化・発展させる』という意思です」(『稲盛和夫の哲学』より)
このように、「創造主である神様の意思」や「宇宙の摂理、宇宙の意思にかなった生き方」が大切だと強調しているのです。
人間を幸せに導く本質とは何でしょうか。人は何のために生きるのか、何を目指して生きるのか、何をしたらよいのか、という本質的な疑問に対して答えられなければなりません。
この点について、文鮮明(ムン・ソンミョン)先生は、次のように語っていらっしゃいます。
人がなぜ生まれたのか、ということを知らなければなりません。人は、知識や権力ゆえに生まれたのではありません。人は、愛ゆえに生まれ、また、愛から生まれました。それでは、愛は何ゆえにそのように偉大なのでしょうか。それは、生命の源泉であるからです。(八大教材・教本『天国を開く門 真の家庭』52ページ)
このように、生命の根源は「愛」であるように、人生の最も本質的核となるのが愛と言えるのではないでしょうか。イエス様は「愛」を、お釈迦(しゃか)様は「慈悲」を、孔子様は「仁」を説きました。その本質は一言で言えば、「愛の人生を生きよ」ということです。
では、その愛はどこから来るのでしょうか。文鮮明先生の言葉を引用してみましょう。
人間とは、自分が希望して生まれた存在ではありません。それでは、お父さんとお母さんの希望によって生まれたのでしょうか。そうではありません。神様の希望によって生まれたのです。神様の代身である父母の愛を通して生まれたのです。神様の代身である父母の愛を通して、新しい生命体として生まれたのが「私」です。(同51ページ)
私たちの生命は親から頂いたものであり、大本は神様から頂いたものです。ですから、生命の根源である「愛」も神様から来るということです。よく「天理、天道に基づく生き方が大切だ」と言われますが、言い方を換えれば、神様の願い、神様の愛に基づく生き方です。人生においては、その場その場で臨機応変にふるまわなければならないこともありますが、どんな状況であっても変わらない根本的な人生観が必要です。風が吹いても根っこは揺れないように、変わらないものに根ざした人生観です。
人間には「心」と「体」があるように、全てにおいて「目に見えない世界」と「目に見える世界」があることが分かります。目に見えないからといって「ない」と断言できないものです。愛も見えません。空気も見えません。霊界も見えません。先祖も見えませんし、神様も見えません。しかし、これらは見えなくても存在しているのです。見えないものを大切にする人ほど、本質的な生き方ができるのではないでしょうか。その根本となるのが「天を敬い、天を愛する」ことです。これが第一です。
今まで多くの宗教、倫理道徳がありましたが、究極的には「神様を愛すること」「人を愛すること」「万物を愛すること」を教えてきました。このような生き方を「愛天愛人愛国の生活」と言います。
私たちの人生を充実させるために、素晴らしくするために、幸福な人生にするためには、まず私が「天を愛する人」となり、「人類を愛する人」となり、「地を愛する人、国を愛する人」になることが大切です。まさに、これが「愛天愛人愛国の生き方」です。
文鮮明先生は、教育理念として「愛天愛人愛国」と表現し、強調していらっしゃいます。
私の教育理念は、…天を愛し、人を愛し、国のために働く人材を育てることです。…一つ目は、神様を知って、その存在を現実の世界に顕現させることです。二つ目は、人間存在の根源を知り、自分の責任を果たし、世界の運命に責任を持つことです。そして、三つ目は、人類の存在目的を悟り、理想的な世界を建設することです。(『愛天愛人愛国―真の愛の生活信条』18ページ)
私たちは、自分一人の力で生きていると思いがちですが、神様から生かされているのであり、親や家族や隣人から生かされているのであり、万物に生かされて生きているのです。いま一度、生かされていることに気づき、感謝を捧げ、恩返しする心、愛する心で生きていきたいものです。
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次回は、「『愛される』人生から『愛する』人生へ(前)」をお届けします。