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愛と人生の道しるべ 20
衝突と和解を繰り返しながら夫婦らしく

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第1弾、『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』を毎週日曜日配信(予定)でお届けしています。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

第6章 結婚、それは別の人格を認めること

衝突と和解を繰り返しながら夫婦らしく

 結婚してみて誰もが最初に感じるのは、相手の性格や思考方法が全然違うということです。異性なのですから、それは当然ですが、物事の認識の仕方、判断の仕方、行動様式が、男女では本当に違うのです。

 私も、それまで学校や会社で異性の友達もいたわけですし、それなりに分かっているつもりだったのですが、実際に結婚生活が始まってみると驚くことばかりでした。私の結婚一年目は、毎日が驚きの連続でした。

 例を挙げてみましょう。仕事から帰って居間でくつろいでいる時、妻は「お茶、飲みますか?」と尋ねてきます。私はこの言葉を聞くといつも、「夫がお茶を飲みたくなるタイミングくらい、妻のほうで研究して、黙っていてもサッと出してくれたらいいじゃないか」と思っていました。ある日、そう言ってみると、「黙っていたら分からないでしょう。あなたがひとこと言ってくれれば、それでいいだけじゃないの」という返事が返ってきました。要するに、考え方が違っていたわけです。

 一番大変だったのが、料理の好みの違いでした。私は農村出身の人間ですので、漬物や煮物といった田舎風の料理を好みます。ところが妻は都会出身で、スパゲッティやフライ、サラダといった洋食風の料理ばかり作るのです。

 まさかそんなもの嫌いだとも言えず、黙って食べました。妻は私の料理の好みが分からずに自信を喪失していました。

 やがて妻は、私の郷里の母親に電話して私の好みを調べ上げ、田舎(いなか)風の料理を作るようになりました。今ではふきのとう味噌を作ったり、ぬかみそ漬けを作ったりして、料理の好みもほとんど同じになっています。

 このように、それまでの生活環境がまるで違っていた二人が共同生活を始めるのですから、摩擦が生じるのは当然です。その対立を解決していく中で、夫婦の信頼と愛が培われていくのではないでしょうか。

 よく夫婦の倦怠(けんたい) 期とか、性格の違いによる離婚とかいう話がありますが、私は倦怠期というのは、恋愛感情という「幻」から覚め、相手を本当の意味で愛していくための重要な期間であると理解しています。

 「性格が違う」と言って逃避しようとする人は、何度離婚しても幸運をつかむのは難しいのではないでしょうか。(続く)

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 次回は、「結婚生活は人を愛する最高の訓練」をお届けします。


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