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【B-Life『世界家庭』コーナー】
フィリピン便り①
「ここは自分の家?」

 2010年から2011年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「ハロハロ フィリピン便り」を、特別にBlessed Lifeでお届けします!

 筆者のトゥパス サチコさんは、3億6千万双のフィリピン・日本家庭です。

※ハロハロとは、タガログ語で「混ぜこぜ」を意味する言葉。フィリピンの代表的なかき氷デザートを指す。

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 私は、2004年にフィリピンの方と祝福を受けて、2009年に家庭を出発しました。フィリピンに行ったら、夫と理想家庭を築いて、伝道も頑張ろうと思い向かったのです。

 私たちの住む家には、なぜか二人の兄弟(教会のメンバー)も住んでいました。

 私は夫に尋ねました。

 「(新婚だというのに)なぜ、兄弟と一緒に住まないといけないの?」

 夫は「仕方ないよ、お金がないんだから…」と当然のことのように答えるのです。

 これがフィリピンの文化か? と驚いていたのはつかの間、ある朝、リビングに下りていくと今度は、知らない兄弟がまるで自分の家のようにくつろいでテレビを見ているのです。

 「ハイッ、アテー(お姉さん)、グッドモーニング!」

 と言われた私は、あれ? ここはどこだったかな? と一瞬混乱。

 「ごめんね、あなたは誰さん……?」

 すると主人が来て「ハイ、クマインカナ?(ご飯食べた?)」と二人のタガログ語の会話が始まります。

 どうやらマレーシアでの活動から戻ってきた兄弟らしく、彼はそのまま三日間、うちに泊まっていったのです。

 こんなことが日常茶飯事です。

 自分の家のようで、そうじゃない。でも自分の家?! 今までの常識、価値観が吹き飛ばされる日々を送りました。

 お嫁に来ている日本婦人の中には、夫の親戚と一つの家で一緒に暮らしている人もいます。もちろん、すべての家庭がこういう感じではありません。自分の家族だけで住んでいる人もあります。

 数か月たった今では、不思議なことに他人だと思っていた兄弟たちが、私の家族の一員となっています。

 人間味あふれるフィリピンの良さを発見しながら、どんな国の人も、他人も受け入れて家族にしていくこのハロハロ(ごちゃ混ぜ)なフィリピンの国で、祝福に込められたお父様の願いを思う毎日です。

▲フィリピンではお祝いのとき豚の丸焼きを食べる。右二人が筆者とご主人

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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2010年7月号に掲載されたものです)