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脱会説得の宗教的背景 30
神の創造に際しての「連続性」と「非連続性」

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

音から「無」を考察する
 「無」という根源の「前エネルギー」について、それを「音」や「光」に例えて考察すると、次のように考えることができます。

 例えば、ピアノの音の場合を考察します。
 ピアノの鍵盤の全ての音を同時に鳴らすと、その音は個別化(=特定)されていないので、音楽になりません。
 つまり、全部の音を同時に鳴らすということは、ある意味で音を鳴らしていないのと同じ意味になってしまいます。

 全ての鍵盤を同時に鳴らし、連続した「全音」ならば、音を個別化(限定)することができません。こういう状態の音では、何か意味のある音楽を作ることができないのです。

 ピアノの音階(鍵盤)は、七つの白鍵と、五つの黒鍵によって構成されます。
 計12音階です。ドとレの間に半音、ドのシャープがあり、そこに黒鍵を付けています。また、レとミの間にも半音があって黒鍵を付けています。


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 では、ドのシャープとレの音の間、すなわち白鍵と黒鍵の間には、もう音がないのかというと、実はそこにも音があるのです。

 その半音と半音の間にも、さらに音が存在します。
 そこで欲張りなピアノを作り、白鍵と黒鍵の間に、赤い鍵盤を付けたとします。


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 さらに赤い鍵盤と、白鍵・黒鍵の間にもさらに音があるので、黄色い鍵盤を付けたとします。


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 黄色い鍵盤と、赤い鍵盤・白鍵・黒鍵の間にも音があるので、緑の鍵盤を付ける…。
そして、青い鍵盤、ピンクの鍵盤というように音を追求し続けると、そこには無限の音があるのです。


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 音は連続しており、これを「スイープ音」といいます。この連続した音を、限りなく追求し続けると、最終的に、ピアノの鍵盤は、一枚の板のようにつながってしまいます。

 すなわち、低周波数の低音から、高周波数の高音に至るまで、音は連続しているために、鍵盤を無限に追求していくと、無限の鍵盤が並ぶことになり、やがてある音と次の音の区別が全くなくなり、音が特定できず、全ての音がつながった状態になってしまうのです。

 このように、全ての音がつながった鍵盤のピアノを作ると、それでは音楽を作ることができなくなるのです。
 そして、全ての連続した音を、同時に鳴らすと、それは音を鳴らしていないのと同じ意味(=無)なのです。

 ところが、音は良くしたもので、基本は白鍵の七つの音。そこに半音の黒鍵を入れて12音階があります。
 つまり「音波」の波長の違いにより連続性に対し、そこに非連続性が起こるため、その内の3音(長・短の和音)が決まれば、12音階が自然に決定されるようになっています。そこに、長調(陽)と短調(陰)の2種類の和音があるために、楽想としては24種類が生まれてくるようになっているのです。


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光から「無」を考察する
 色の世界も同じです。光の色も、無限に色が存在しています。
 パソコン業界などは、千数百万色の色をデータ化し、プログラムしたソフトを売り出しています。

 隣り合わせた色を見比べても、人間の目では識別することはできません。色もまた連続しています。
 そして光の色全てを混ぜ合わせると、無色透明(白)になってしまいます。


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 また絵の具の場合、全てを混ぜると真っ黒になってしまいます。
 無色透明(白)、または全て真っ黒で全体を覆えば、絵を描くことができません。

 ところが光をプリズムに通してみると、7色のスペクトルになります。
 つまり「光波」の波長の違いによって、そこに“連続性”に対して“非連続性”が起こるので、七つの色に分化されます。
 その基本は3原色であり、そこから7色、さらに12色、そして24色という基本的なパターンが現れます。


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 以上のように「音」と「光」の例からも分かるように、全てが連続(=アナログ的)していては、何か意味のあるものが作れないということが分かります。

 そこで、他の音や、他の色と区別するための「個別化」が必要になってきます。個別化するには、そこに非連続性(=デジタル的)が必要になるのです。そうやって、他の音との違い、他の色との違いが生じるのです。

(続く)

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第7回『唯物論』と『唯心論』の和合統一〈その2〉」はこちらから