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脱会説得の宗教的背景 26
共産圏と自由圏の戦い、唯物論か唯心論か

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

“人類滅亡”回避の鍵を握る「統一原理」
 現在の国際情勢を見ると、人類を滅亡させかねない深刻な問題になっているのが、共産圏と自由圏の対立問題です。
 この対立を引き起こす要因として、“唯物論”と“唯心論”の論争があります。
 この唯物論か唯心論かという思想の対立から、共産圏と自由圏の戦いが生じています。

 実は「統一原理」は、精神の原因も、物質の原因も、共に神の中にあるという考え方を持っており、共産圏と自由圏の対立を生じさせている唯物論と唯心論の思想を一つに和合させ、統一する観点を持っています。これを「唯一論」と呼びます。

 『原理講論』に、「神は本性相と本形状の二性性相の中和的主体である」(47ページ)とありますが、これは、神が「本性相」という“精神の原因”と、「本形状」という“物質の原因”を共に持っているという意味です。
 「統一原理」は唯物論と唯心論の論争に終止符を打ち、世界平和を構築する鍵を握っています。

「無限応形性」とは?
神による天地創造はいかになされたか
 さて、『新版・統一思想要綱』には「無限応形性」(32ページ)という概念が登場します。
 この「無限応形性」を簡潔に述べると、無限応形性とは、無限なる形態を取ることのできる可能性を持つ素材(前エネルギー)のことで、神はこの素材を用いて創造をされたということです。
 神の創造がいかになされたのかを、「無限応形性」の概念から、科学的見地を用いて、それを哲学的に説明していこうと思います。

 例題を挙げて説明します。
 ミケランジェロが、大理石(材料)を彫刻してダビデ像を創りました。原石となった大理石は、もともと個別的な形がなかったもので、ミケランジェロはその原石を「有形化」(彫刻)して、ダビデ像を創ったのです。
 ある素材を用い、そこに特定の“形”や“性質”を持たせることを「限定作用」といいます。

 ダビデ像は、裸体である、左足を少し曲げているなど、個別的な特徴(=個性)があります。すなわち「限定作用」とは、ある素材(大理石)に、特定の「形」や「性質」を持たせながら規定していくことをいいます。
 ミケランジェロは、没個性的だった大理石(原石)を用い、「限定作用」によってダビデ像を創ったということです。彼はその大理石で、ライオンを彫ることもできました。


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 最初にあった原石は、何にでも変わり得る可能性を持っています。これを「可能態」といいます。
 没個性的な、何にでもなり得る可能性のあるもの、すなわち可能態に、限定作用を加えて、ダビデ像という「有形化」がなされたのです。

 これと同様に、ある共通の素材を用いて、そこに「限定作用」を加えることで何かを創造していくこと。これは、キリスト教でいう「無からの創造」ではなく、何かの素材(没個性的な可能態=無限の可能性を持つ素材)があって、そこに「限定作用」を加え、何かを創造していくことをいいます。これが「限定作用による創造」です。

 全宇宙や森羅万象の根源となる「材料」(素材)も、何にでも変わり得る無限なる可能性を持つ素材(可能態)でなければならなかったはずです。
 この宇宙の全存在の素材となったものを「無限応形性」というのです。この何にでも変わり得る無限の可能性をもつ素材(可能態)こそ、神の「本形状」(前エネルギー)ということになります。

(続く)

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第7回『唯物論』と『唯心論』の和合統一〈その2〉」はこちらから