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コラム・週刊Blessed Life 300
立春の由来と風習

新海 一朗

 国立天文台の暦計算室から暦Wikiの記事をいろいろ見てみると、24節季として数えられる「立春」について、さまざまなことが分かります。
 目まぐるしく国内外の情勢が動いている中で、季節の区切りに目を向けてみるのも面白いと感じます。

 2024年の立春は24日ですが、立春の日付は年によって1日程度変わる(23日とか25日)ことがあります。
 立春は春の始まりを表す言葉です。立春を迎えると暦の上では春となります。

 立春は、古代の中国北方で成立した概念「二十四節季」に基づいています。併せて、立夏・立秋・立冬も、それぞれ夏・秋・冬の始まりを表す言葉です。立春と併せて四立(しりゅう)と呼ばれます。

 立春の考え方の基礎にある「二十四節季」とは、一年を四つの季節(春夏秋冬)に分け、各季節をさらに六つに細分化した24個の目印のことです。
 季節は、地球が自転軸を約23.4度傾けたまま公転することによって変化していきます。

 二十四節季は、一年の太陽の動きに合わせて15度ごとに24等分して定められており、日本では、国立天文台による観測に基づき「太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」を立春としています。太陽黄経は、太陽が天球上を通る経路(黄道)を等角に分割した座標のことです。

 二十四節季は、奇数番目の「節」と偶数番目の「中」という二つのグループに分けられます。立春は、二十四節季の1番目、奇数番目のグループに属し、暦の上では、「正月節」や「1月節」と表記されます。

 立春には、「立春大吉」と書かれたお札を貼る風習があります。
 立春大吉という文字は左右対称です。和紙に墨で立春大吉と書いたお札を玄関などに貼っておくと、入ってきた鬼が裏側からお札を見ても同じく「立春大吉」と読めるので、鬼は、「まだ家の中に入っていなかった」と勘違いして出ていくことから、厄除けに効果があるとされました。

 禅宗のお寺では、立春の朝に「立春大吉」と書いたお札を門に貼る風習があります。立春大吉は、天地自然の正しい神気を頂き、万民に福をもたらす縁起物とされています。

 立春に食べるとよいとされる行事食が、代表的なものとして三つあります。

 立春の朝に搾った日本酒、これを「立春朝搾り」といいます。酒を飲まない人には関係ありませんが、飲む人には特別な美酒として、春の訪れを祝うものとなるでしょう。

 次に、立春の朝に作り、その日のうちに食べる生菓子、これを「立春朝生菓子」といいます。主に、「桜餅」や「うぐいす餅」など春を感じられる和菓子や「立春大福」が食されます。

 三つ目は、立春や節分に食べる豆腐、すなわち「立春大吉豆腐」です。「白い豆腐には邪気を払う力が宿る」という考えから、立春に食べる豆腐は幸福を呼び込み、立春前日の節分に食べる豆腐は罪や汚れを祓(はら)うといわれています。

 こうして、いろいろと立春とは何かを改めて調べてみると、立春大吉豆腐でも食べてみるかといった気持ちになります。それと同時に、今年がどうぞ良い年でありますようにと願う気持ちが沸々と湧き上がってきます。

 国内外、大波乱の年、その中で、世の光として、地の塩として生きていこうと決意する次第です。