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ダーウィニズムを超えて 44

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

四章 創造神話と新創造論

(五)言による創造

 神の言(ことば)によって世界が創造されたという聖典や神話が世界各地において見られる。

1)言による創造(キリスト教)
 ヨハネ福音書に「初めに言があった。言は神と共にあった。……すべてのものは、これによってできた」とあるように、キリスト教では、神が言(ロゴス)によって世界を創造したのである。

2)「かくあれ」の言で創造(イスラム教)
 次のような『コーラン』の聖句にあるように、イスラム教では、神の「かくあれ」という言によって、すべては現れたのである。

 「天地の造り主。ご命令を下したもうときは、ただ、『かくあれ』との言で、すべてそのとおりになる」(コーラン2117)。

 「もしこのお方があることを決めたもうなら、ただ、『あれ』と一言発せられるだけで成就する」(コーラン4068)。

3)エジプト神話における言による創造
 メンフィス(Memphis)の人々はプタハ(Ptah)を世界の創造主であると考えた。プタハは、すべてのものを思考と言によって創ったのである。彼の心臓から出る思考と舌から出る言によって、すべてのものは現実のものとなったのである(図415)。

 トート(Thoth)は全エジプトの最高神ラー(Re)の代理者であるが、ヘルモポリス(Hermopolis)の神話によれば、トートは宇宙を創造した神とされている。彼は原初の宇宙卵としてみずからを創造し、睡蓮(すいれん)の上に出現した。トートが言葉を発すると「それらの言葉は存在を身にまとった」。すなわち、言によって万物を創造したのである。

4)マヤ神話の創造論
 原初に空と海が広がる中、テペウ(Tepeu)と「羽毛の蛇」のグクマッツ(Gucumatz)しか存在しなかった。空っぽの空間に、何かができればいいと彼らが考えると、実際に何かが現れた。「大地あれ」と言うと大地ができ、「山」を思うと山が現れ、「木よ」と言うと木が生まれた。こうして創造は続いた(*14)。

5)新創造論の「創造の二段構造」
 聖典や神話では、神が言を発すると、すぐそれは現実のものとなったというように描かれている。しかし新創造論から見れば、言は口から出る話し言葉のようなものではない。神の言すなわちロゴスとは、天地創造に対する神の設計図、構想、シナリオである。そのロゴス(言)に従って被造世界が創造されたのである。

 ロゴスの形成は下向性であった。すなわち、神は人間始祖アダム・エバの構想を最初に立てられ、それをモデルにして、高級な生物から低級な生物、そして天体、原子、素粒子、光という順序で世界を構想された。次にロゴスに従って被造世界が創造されたのであるが、それはロゴスの形成とは逆の順序で上向的になされた。すなわち、百数十億年という時間をかけ、構想に従って、エネルギーを投入しながら、光から始まって、人間に向かって創造がなされたのである。聖典や神話では、卵神話と同様に、時間を省略して、神が言葉を発すれば、そのまま、ただちに現実のものとなったように描いていたのである。


*14 D・A・リーミング、MA・リーミング、松浦俊輔他訳『創造神話の事典』青土社、335336頁。

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 次回は、「原初の質料」をお届けします。


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