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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

台湾の総統選、立法委員選挙結果は「微妙」

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、18日から14日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 中国が衛星打ち上げ、台湾全土に警報、南部の上空通過(19日)。北朝鮮がロシアにミサイル供与、約50カ国が非難声明(9日)。習近平氏、反腐敗闘争の強化を表明、軍高官らに大規模汚職疑惑(10日)。将来の北方領土訪問を示唆、プーチン氏、ロシア極東視察で(11日)。台湾総統選、立法委員選挙(13日)、などです。

 台湾総統選挙および立法委員(国会議員に相当)選挙が113日、行われました。アジアで今年行われる最も重要な選挙と言っても過言ではありません。
 その結果は、「微妙」。まあまあ良かった、という意味です。

 総統選は民進党の頼清徳氏(64歳)が、国民党の侯友宜氏(66歳)、台湾民衆党の柯文哲氏(64歳)を破って当選しました。

 有権者は、蔡英文総統の路線継承を訴えた頼氏を選んだのです。中台関係においては「現状維持」です。結果に対して中国は強く反発。今後、「中台統一」を掲げる習近平政権が反発し、台湾海峡を挟んで緊張が高まる可能性も十分あります。

 中国が反発する理由を挙げておきます。
 かつて頼氏は、自身を「実務的な台湾独立工作者」と称したことがあります。ですから中国側から蔡英文総統以上に警戒されてきたのです。

 中国側は、中台が「一つの中国」原則で合意したとされる「1992年合意」の受け入れを対話・交流の条件に掲げていますが、頼氏は蔡総統と共に、認めない方針を一貫してきたのです。

 頼清徳氏を簡単に紹介します。
 医師出身で、これまで立法委員や行政院長(首相)などを歴任しました。
 内政問題には明るいのですが、外交や安全保障分野の経験が少ないのです。副総統となる蕭美琴氏は蔡英文総統とはごく近い関係であり、女性初の駐米代表を務めた人物なので、スムーズな政権移行がなされることでしょう。

 選挙結果が「微妙」であるのは、立法委員選挙の結果、民進党が少数与党となったからです。民進党の議席は過半数(57議席)を割り込んで第2党に落ち、51議席(62議席から)に、国民党は52議席(37議席)を獲得して第1党となりました。台湾民衆党は8議席(5議席)でした。

 頼氏は今後、米国から最新鋭の武器を導入し、防衛力を高めて中国の脅威に対抗する考えです。さらに日本,欧州など民主主義国と外交の連携を強化することを主張してきました。

 民進党はこれまで8年間、過半数の議席を維持してきたため、軍事的威嚇を強める中国に対抗して防衛予算案を7年連続で積み増し、自前の潜水艦の建造も始めることができたのです。

 台湾の総統は、内閣トップの行政院長(首相)を任命する権限を持つ一方で、立法院に対して行使する力は限られています。米国大統領のように議会が可決した法案に拒否権を発動する権限はありません。

 少数与党となったため、新総統肝いりの重要な法案や予算案が通らなくなる可能性があるのです。
 典型的なのが20002008年の民進党の陳水扁政権でした。陳政権が編成した米武器購入のための防衛予算案は野党・国民党にたびたび阻まれたのです。

 今後の焦点は第3党の台湾民衆党の動向です。民進党も国民党も過半数に届かなかったため、キャスティングボードを握ったのです。民進、国民共に多数化工作に向けて動き出しています。
 安定した政権運営ができることを期待したいと思います。



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