平和の大道 63
夢実現に必要な公共事業

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

日本の国力衰退

 今の日本の最大の課題は、経済再建を中心とした総合的な国力の拡大だ。
 「失われた20年」、「空白の20年」と言われているように、約20年の間に日本の国力が著しく衰退してきたが、その主要原因は公共工事の大幅削減にある。

 国土を造るということは、国土に働きかけ、フィードバックし、また国土に働きかける—このことを永続的になすことだ。日本はこれを昔から延々とやってきたが、半世紀近く、特にここ2030年間は何もしていない。ドイツや中国やアメリカは元気で、公共工事に相当な額を投資している。日本は公共投資が半分ぐらいに減った。

 1995年、財政危機宣言が出た。公債残高は225兆円で、GDP(国内総生産)の約半分ほどであり、国は財政削減に邁進し始めた。公共工事が96年以降は半減以下となった。その結果、日本経済の伸びが止まり、95年の日本人1人あたりの名目GDPは世界第3位の42500ドルであったが、2015年には世界26位の32500ドルに低落した。この間米国もイギリスも2倍に、ギリシャでも1.38倍になった。先進国で1を切ったのは日本だけで、日本人はこの20年間で確実に貧乏になった。

 公共工事、国土への働きかけの総量が、96年を起点に半減した国はない。よその国は、文化や経済、社会をこんな風にしようという意志の力で切り開いている。国土に働きかけるのが文化、芸術、思考などに基づいて作る上部構造だ。その活動で下部構造(インフラ)が変わり、下部構造が今度は上部構造に影響する。この循環が国家に活力をもたらし、国力を生んでいく。

 ところが、日本では、上部構造から下部構造への循環が停滞し、国が死にかけているのが現状だ。よその国は循環が加速している。国土を良くしようという意志がインフラ整備を拡大させるが、日本にはその意志がない。公共事業を削減し、国土への働きかけ(公共工事)を止め、その意志を失った国家が今の日本だ。

 国土への働きかけをせずに、自国の未来の夢を実現させることは不可能だ。国家は、国をどうにかしようと思ったら、国土への働きかけ(公共事業)を抜きにはできない。

インフラは将来世代への贈り物

 下部構造への働きかけをしないのは、下部構造の価値を過小評価していることを意味する。国債が積み上がるのは「後世への付け」と解釈し、インフラの価値を過小評価している。国債が積み上がるのを問題とし、道路や港湾ができる価値を小さいと思っている。国債を発行することで道路ができ、借金と共に資産(ストック)ができる。国債問題はインフラ過小評価問題だ。

 現代世代が、将来世代の人々への贈り物として形成するべきものがインフラストックである。手を抜くのは、将来世代がより安全、快適に、効率的に暮らすことができ、競争力が増し、経済が成長するという環境整備を怠ることを意味する。日本はこのプライオリティーの置き方が世界の国々と違う。

 政府は、公共事業の拡大で需要を創出する以外にない。現在の国の経済状況には、大きな財政出動が必要だ。計画的に増進するようにインフラの諸環境を改善し、民間の投資を生む環境を作ることが成長軌道に乗る鍵である。

 ドイツ人が豊かな理由は、圧倒的なストックの量のゆえだ。ストックを積む態度がヨーロッパには存在するのに、日本においては、その態度が著しく少ない。公共事業(工事)を怠るのは、「不道徳国家」であると言えるだろう。「不道徳」であると言える理由は、将来世代に対する現代世代の責任放棄であるからだ。

新しい「日本列島改造」

 半世紀前の東京オリンピックの時に新幹線や高速道路を造ることで、その後の日本経済の驚異的な発展がなされた。賛否両論はあるが、インフラの重要性をよく知って「日本列島改造」を実行した田中角栄元首相の英断によって、その後の日本は高度成長をなし、大きく繁栄したと考える。問題は、日本列島改造が中途半端な状態でストップしているため、それが近年の日本経済の停滞、国力の低下の主要原因となっていることである。

 2020年の東京オリンピック開催を機に、様々なインフラ整備を推進するようにはなっているが、その規模は小さい。オリンピック後の「日本列島改造」の全国規模の大きなインフラ整備が必要だ。

 日本政府が、日韓トンネル構想をその中核的なビッグプロジェクトとして取り上げることを提案する。日本の国が、日韓トンネル建設を契機に、日本の高速道路網、新幹線網の拡充等をなすことによって、日本の交通インフラを拡充し、「第二の日本列島改造」に着手すべきだ。

(『友情新聞』2016年9月1日号より)

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 次回は、「スエズ運河建設から学ぶ勇気と知恵」をお届けします。


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