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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

ハマスの奇襲と中露首脳会談

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1016日から22日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 イスラエル首相、大規模侵攻示唆(15日)。北がハマスと武器取引か(17日)。中露首脳会談(18日)。ロシア・ラブロフ外相が平壌訪問(18日)。中国、邦人男性社員の正式逮捕を確認(19日)。中国保有核弾頭500発以上、米報告(19日)。中国海警船が比の補給船に衝突(22日)、などです。

 ハマスのイスラエル奇襲により、世界は中露にとって有利に展開しつつあるといえます。
 1018日、中露首脳会談が北京で開催され、パレスチナ自治区ガザやウクライナの情勢も協議されました。

 そこで習近平氏は、「両国の政治的な信頼関係は絶えず深化し、戦略的な協力は緊密で効果的だ」と述べ、「ロシアが国家主権、安全、発展の利益を守るのを指示する」と発言。米国への対抗を念頭に、食料、エネルギーの安全保障、サプライチェーンの安定で協力強化を呼びかけました。
 プーチン大統領もそれに応えて、「台湾は中国の不可分の領土だ」などと述べたのです。

 中露とハマスの関わりが指摘されています。
 米シンクタンク、大西洋評議会のアンドリュー・ミクタ上級研究員は、ハマスの軍事攻撃について、これほど大規模な侵攻と武器・弾薬の供給を考えれば、「強力な外部支援がなければ起こり得なかった」と指摘し、背後に大国の関与を疑う発言をしています。

 さらにミクタ氏は、ロシアのショイグ国防相がハマス侵攻の数週間前にイランを訪問したばかりだったことを指摘し、ハマスの行動が「イランとロシアによって促進されたかどうか」と問題を提起しているのです。
 少なくともハマスの報道官は英BBC放送に、イランから直接的支援を受けていると語っていたといいます。(「産経」1023日付、世界読解)

 対ウクライナ戦争で苦戦するロシアにとって、中東で新たに第二戦線ができたことは願ってもない慶事に違いありません。
 今後米国は、ウクライナ支援に集中できず、同盟国のイスラエルを優先せざるを得ないとの判断に傾くかもしれないのです。

 イランの野望はイスラエルを破壊することであり、中東を支配することです。そして核戦力を持つ国家になる野望を捨てていません。
 イラン革命防衛隊の当局者が8月以来、ハマスと協力して陸海空の侵攻計画を協議していたとの情報もあります。

 またロシアについて「ハマスがロシアとの協議のため、過去1年間で少なくとも2度、高官級の代表団をモスクワに派遣した」との情報もあります。
 ロシアの関与を裏付ける状況証拠は積み上がっています。

 他方中国は、米国から制裁を受ける先端半導体などハイテク分野でイスラエルやサウジアラビアを経由したアクセスの獲得を目指してきました。
 ところが、そのイスラエルとサウジアラビアが、バイデン米政権の仲介で関係正常化に向けた交渉に動き始めたのです。中東地域への影響力拡大を目指す中国にとって見逃せない出来事でした。

 ハマスの攻撃は、中国にとってプラスに働くことは確かです。そしてサウジアラビアがアラブ世界の反イスラエル感情を勘案して、正常化交渉を凍結せざるを得なくなったのです。中国に利する展開です。

 ハマスと中国、ロシアとの関係を注意深く見ていきましょう。世界秩序が変わってしまうかもしれないのです。



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