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中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

21回「性自認」と「トランスジェンダリズム」について考える(後編)

(中和新聞 2023年4月18日 通巻1554号より)

 このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は先回に続いて、「性自認」と「トランスジェンダリズム」について考えます。

 先回、与党で「LGBT」法案に賛成しているある国会議員のブログから、次のような内容を紹介しました。

 「(「LGBT」法案成立後の女湯で)『女性が被害にあう』ということは起きず、ただの杞憂です」「(トランスジェンダー女性をめぐる)『米国や英国での混乱』については特に私は承知をしておりませんが、そもそも犯罪をLGBTの話として語ることが適切ではありません」

 この主張に対し、「あまりに認識が甘い!」「仮にも法案を推進する国会議員であれば、諸外国の混乱について調べないのは無責任」と批判しましたが、何事も冷静な議論が必要です。

■「Wi Spa事件」の犯人の言葉から考える
 近年、トランス女性をめぐる「米国や英国での混乱」の事例は、枚挙にいとまがありません。すでに国内外のニュースで数多く報じられ、インターネットでも容易に確認することができます。それを、「特に私は承知をしておりません」と言うのは、あまりに勉強不足か、あえて「不都合な真実」から目を背けているとしか思えません。

 20216月、米国ロサンゼルスにある韓国式スパ(温泉やサウナなどを擁するリラクゼーション施設)で起こった「Wi Spa事件」は、大変有名です。「女性」を自認(自称)するトランス女性(この人物は見た目も体も男性)が女性スペースに入り、大騒動に発展しました。女性たちはすぐに受付に被害を訴えましたが、州法で「性自認に合った施設を利用する権利」が認められていたため、スタッフは対応しなかったのです。

 後にこの人物は公然わいせつ罪で逮捕されましたが、私たちは犯人の次の発言を肝に命じなければなりません。

 「私の顔には毛が生えている。ペニスもある。胸はない。女性らしい声もない。化粧もしないし、女性のような格好もしない。でも、法律的に私はshe/herだ。運転免許証には『女性』と書いてある」。このような自称「トランスジェンダー(女性)」が、現に存在しているのです。

 もちろん、トランス女性の中には、医師の診断をもとに性別適合手術を受け、周囲との調和をはかりながら、慎ましく暮らしている方もいるでしょう。前回も強調したように、トランス女性を不当に差別してはいけません。ただ、「トランス女性」だから、当事者が「かわいそう」だからと言って、その主張を全面的に受け入れることには、慎重にならなければなりません。

■「トランスジェンダリズム」とは?
 さらに私たちが問題視しなければならないのが、「トランスジェンダリズム(性自認至上主義)」という発想、イデオロギーです。

 トランスジェンダリズムとは、「性別は自分で決定できる」という発想で、男性・女性という性別の定義を変えようとする思想運動とも言えます。「性別を自分で決定できる」とは、にわかに信じ難い考えですが、近年の「LGBT」ブームとともに、この狂気の思想が、欧米を中心に広がりを見せています。

 昨年3月、「世界26カ国で翻訳のベストセラー!」と謳われた『大衆の狂気』(徳間書店)が、邦訳出版されました。著者は「英国の保守派論客」として知られるダグラス・マレー氏で、自身もゲイであることを公表しています。

 本書は第1章で「ゲイ」、第4章で「トランスジェンダー」について扱い、日本からすると“先進的”な欧米の事例やトラブルを数多く紹介しています。「LGBT」法案を無批判に推進する国会議員にこそ、ぜひ一読してほしい一冊です。

 ここでは、トランスジェンダーに関連した言及をいくつか紹介します。

 「トランスジェンダーの子どもに配慮して、男児も含め『あらゆるジェンダー』に生理がありうると教えるべきだと小学校の教師に指導している(イギリスの)地方自治体もある」「性別に違和感があると主張する子どもが増えており、そのような主張が『クラスター効果』…を及ぼし始めているとする証拠も増えている」

 これらはほんの一例にすぎませんが、トランスジェンダリズムの思想が、社会に、そして子供にも確実に浸透していることが伺えます。

 性自認やトランスジェンダーをめぐっては、フェミニストや女性団体なども声を上げていますが、さらには共産主義者によるまっとうな批判もあります。

 マルクス経済学者の森田成也氏は、「トランス問題をどのように考えるべきか」というレジュメをネット上に公開。「問題は、左派の多くがこの(トランス)問題では、女性と子供の人権を踏みにじる側に立っているという事実である」と、左派の側から鋭い批判を展開しています。

 また、前述した「Wi Spa事件」の犯人の言葉に触れ、「こういう人物が法的に女性扱いされ女性スペースに入れるのが、リベラル派が理想としている『ジェンダー平等社会』である」と喝破しているのです。

 「LGBT」法案の制定や、自称「トランス女性」の主張に異議を申し立てるのは、決して「差別」を正当化したいからではありません。女性が被害に遭うことが、十分すぎるくらい想定されるからです。マレー氏も訴えているように、「物議をかもす難しい問題には、それ相応の熟慮が必要」なのです。

 次回は、性自認やトランス女性をめぐる議論で欠くことのできない「性犯罪」について、改めて考えてみましょう。

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 次回は、「『性犯罪』について考える」をお届けします。

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