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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第146回 韓国と日本の文化の違いについて教えてください
③情の文化と理性の文化

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は「韓国と日本の文化の違いについて教えてください」という質問に対して何回かに分けてお答えしています。

 韓国と日本の文化を比較して、両国の特徴を紹介したいと思います。
 今回は、「情の文化と理性の文化」という観点です。

 韓国語の話し方は、情的な表現、情感を込めた表現が多いのに対し、日本語は抑揚があまりなく、理性的な表現が多いように感じます。

 例えば、韓国人がよく使う言葉で「アイゴー!」という言葉があります。
 ドラマにも出てくる言葉で、「あらまあ!」とか、「え~!」というような意味の感情表現です。

 また、韓国人は副詞表現が激しいのが特徴です。
 「大変(アヂュ)」「たくさん(マニ)」「本当に(チョンマルロ)」など、そして、韓国では「本当に会いたかった」という思いを表現するときに「見たかった」と言います。このような率直な情表現には驚きます。

 また、事故や災難によって親族を失った家族の悲しみのインタビューがテレビに映されることがあります。
 日本では、事故で娘が亡くなった父親であれば、少し涙ぐみながら「本当に残念です。無念でなりません」と語りつつ、感情を押し殺すような姿を見ることがあります。

 韓国では激しく泣きじゃくりながら「アイゴー、アイゴー」と叫びながら言葉にならないことが多いのです。
 感情表現が率直で、喜怒哀楽が明確です。特に、怒ったときの憤慨する顔は日本では考えられないほどです。

 韓国人は何よりも人間としての「情」を中心として考えるのに対し、日本人は比較的「理性」を中心に考え、物事の合理性・規則性・計画性、さらにはその達成感を重要視します。

 そのような違いを理解しないと、互いの交流がうまくいくどころか誤解が生じることも多くあります。

 韓国人には「理性が通じない」「約束時間を守らない」「計画性がない」という批判を日本人の口からよく聞きます。

 一方、日本人に対して韓国人は「日本人は情がない」「融通性がない」「心が狭い」などという批判が飛び出すのです。
 例えば、韓国人は、多くの日本人が絶対視する「事前約束」を、絶対視しないこともあるといいます。

 日本では一度約束すれば、その後に別の誘いが来ても「先約がある」として断るのが当然です。
 ところが、韓国ではその間に、ありとあらゆる情的な誘いが訪れて、古くなった約束はいつの間にか色あせてしまうというのです。韓国人の場合、情のつながりによって前の約束をキャンセルするということもあります。

 また、韓国人は家庭に訪問客を迎えることを好みますが、日本人は家庭への訪問をあまり喜ばない傾向性があります。

 韓国人は人間関係における態度の二重性もより少なく、関係が近づいて情が濃密になることを好むからです。

 一方、日本は家族関係という本音の中に、社会的関係の建て前を入れることを嫌います。「本音」と「建て前」をわきまえて人間関係を保つ傾向性があるからです。

 このような違いは、日韓両国が近代化の過程で培ってきた近代化精神の違いからも来ています。
 韓国人は、キリスト教ヒューマニズムの影響を受け、人間性の中心とは「愛」であると考え、情を絶対視する傾向性があります。

 一方、日本人は近代合理主義の影響を受け、人間性の中心とは「理性」であると考え、ルールを守る誠実さを絶対視する傾向性があります。

 「愛」という規範と「理性」という規範のすれ違いがありますが、それを理解し合うことが必要です。

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