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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第145回 韓国と日本の文化の違いについて教えてください
②家庭的秩序と社会的秩序

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は「韓国と日本の文化の違いについて教えてください」という質問に対して何回かに分けてお答えしています。

 韓国と日本の文化を比較して、両国の特徴を紹介したいと思います。
 今回は、「家庭的秩序と社会的秩序」という観点です。

 日本では親が子供を叱るとき、「そんなこと、世間では通用しない」「人さまから笑われる」と言ったり、幼い子供に対しては「そんな悪い事をすると、お巡りさんから叱られるよ」と言ったりする場合があります。

 日本では、親が子供に対して「人さまには迷惑をかけてはいけない」と、他人に「さま」を付けるように、社会の目を第一に考え、公共社会に対する「忠」を至上のものとする傾向があります。

 一方、韓国では、「おまえのおじいさんに顔向けできない」「先祖に申し訳ない」と言いながら叱る場合があります。

 多くの韓国人は、小さい頃から目上の人を優先する「長幼の序」を教育し、「孝」の価値を深く理解して、また夫婦の「烈」を重んじることができなければ人間として失格だと教えます。
 まさに人間の秩序を「家庭的秩序」として見るからです。

 このように、韓国人は家族性を重要視する「孝」の文化が強く、日本人は社会性を重要視する「忠」の文化が強いといえます。

 韓国では相手を呼ぶときに、目上の人には基本的に「ニム(さま)」を付けます。
 お父さんを「アボニム(お父さま)」、先生を「ソンセンニム(先生さま)」、社長を「サヂャンニム(社長さま)」といいます。

 韓国ではどんな状況下でも親には絶対的な敬意を表わすという「絶対敬語」であるのに対し、日本の敬意の観念は相手によって変化します。

 日本では、「うちの父は寝ています」「社長の田中は外出中です」と外の人に対しては自分の家族や自分の会社を低めます。
 日本では、近いものを低め、外に行けば行くほど敬意を高めるのが常識なのです。

 日本は武家社会の伝統の影響が強く、「忠」の精神が強く、「侍(はべ)る」という言葉も主従関係において、主人のそばに仕えて命令を待っているというニュアンスです。

 韓国語の「モシダ(侍る)」は、子女が親への愛情に従って、親の事情・心情を自ら察して尽くしながら、親を中心として生きるというニュアンスなのです。

 韓国では「孝道」こそ、国民倫理の中心であり、人の生きる道と考えます。

 日本では「親の面倒を見る」「親を養う」というのですが、面倒を見る若者が主体であり面倒を見てもらう親が「弱者」という立場と考えがちです。

 しかし韓国の「父母に侍る」は、あくまでも親が尊敬の対象として上位にあります。

 韓国人は、「私たちの家族」「私たちの子供」「私たちの国」というように「ウリ(私たち)」という言葉を好みます。

 「ウリ」という観念は、情的に自分に属する人を完全に一つと考える情和主義であり、日本人が和合を好み、集団内の「和」を尊重して個々人のバランスを保つ観念とは似て非なるものです。

 何かもらった場合、日本人は「私がもらった」と喜ぶのに対し、韓国人は「私たち(家族)がもらった」と喜びます。
 物の所有も自分と他人の区別をせずに共同所有と考える「ウリ」の意識を教育します。

 このように、韓国と日本では、互いの意識の“ものさし”に違いがあるということを理解する必要があります。

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