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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

英国がTPPに加盟、どうなる中国

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、710日から16日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 トルコ、スウェーデンのNATO(北大西洋条約機構)加盟に同意(10日)。金与正(キム・ヨジョン)氏が談話で異例の「大韓民国」使用、韓国を「別の国」と強調か(10日、11日)。総選挙大敗、タイのプラユット首相政界引退へ(11日)。処理水放出なら「10都県の水産物を即時禁輸」と香港当局が発表(12日)。韓国大統領ウクライナを訪問、ゼレンスキー氏と会談(15日)。英国のTPP(環太平洋パートナーシップ)協定加盟を承認、発効後初の拡大で12カ国に(16日)、などです。

 TPP参加国は716日、ニュージーランドのオークランドで閣僚級の「TPP委員会」を開催し、英国の加盟を正式に承認しました。参加国はこれで12カ国になります。
 TPPが2018年に発効して以来、新たな加盟は初めてのことです。今後英国は、2024年の発効を目指して国内手続き(議会での承認)を開始することになります。

 英国は20201月末、EU(欧州連合)から離脱しました。その後20212月に加盟を申請し、今年3月に日本など他の参加国11カ国と合意しています。
 今後、太平洋を中心とした経済圏が欧州に広がることとなり、歴史的な出来事と評価できます。また日本にとっては、英国に輸出する精米の関税の一部が撤廃され、輸出拡大が期待できることになります。

 TPP加盟国は現在、日本、カナダ、オーストラリア、メキシコ、シンガポール、ベトナム、ニュージーランド、ペルー、マレーシア、チリ、ブルネイ、そして英国です。
 加盟国の総人口はこれまで5.1億人でしたが、英国の加盟で5.8億人になり、国内総生産(GDP)の合計が世界全体に占める割合は12%から15%に拡大しました。

 TPPは関税をかける品目数を段階的に100%近くまで撤廃する自由貿易協定です。TPPは、知的財産権の保護や国有企業への過度な補助金の制限など非常に高い水準の自由化ルールを加盟国に求めています。

 次の焦点は、英国の次はどこかということです。これまで中国や台湾など、6カ国・地域が申請をしています。このうちで中国の申請は20219月で最も早いのです。
 しかし、中国はTPPが求める労働者の権利保護が不十分と見られており、膨大な補助金で国有企業を優遇しており、さらに貿易を抑制して他国に圧力をかける「経済的威圧」を行うなど、加盟への警戒心も強くあります。また、交渉の開始には英国を含めた全12カ国の同意が必要になっており、ハードルは非常に高いのです。

 日本から参加した後藤茂之経済再生相は記者会見で、「威圧的な対応や法令を順守していない国・地域は対象にしないことで合意している。申請順に検討することはない」と中国を念頭に強調しました。重要な発言でした。



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