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うまくいく夫婦仲の法則 23

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。

松本 雄司・著

(光言社・刊『二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則』〈200251日初版発行〉より)

第四章 どのようにして夫婦愛を育てるか

3 二人が仲の良い夫婦になるには

※「A愛妻度」は第20回、「B愛夫度」は第21回を参照

②愛情を態度で表現しよう(A④、⑰、B②、⑰、⑱)

 まず、A-④、「久しぶりに会ったときには妻や子供を抱擁してあげる」。

 アメリカだったらごく当たり前でしょう。日本人は愛情を態度ではあまり表現しないのです。アメリカやヨーロッパでは、ちょっとした親戚、友達でも会えば握手し、抱き合い、キスしたりします。体全体で親愛の情を示します。日本人はあまりそういう表現は得意ではありません。お辞儀して挨拶するか握手ぐらいです。

 では東洋人は全然しないのかというと、そうでもないのです。同じ東洋人でもお隣の韓国人は親戚関係でも友達関係でも愛情表現が強いようです。私たちから見たら大げさじゃないかと思うようなこともあります。

 日本では親戚に会っても抱き合うなんてめったにしません。韓国ではそういうのがごく自然にあります。どのくらい違うかというと、日本の「兄弟姉妹」の付き合い、その感覚がそのまま「いとこ圏内」まであります。いとこまでは兄弟と同じような親密さで付き合っています。最近は少し変わりつつあるようですが、それでも日本人とは相当違います。

 韓国の男性と結婚した女性が言っていましたが、最初はあまりにも違うので頭にきたり、困ったりしたことがあったというのです。例えば、韓国ではほとんどお義父さん、お義母さんと暮らしている人が多いのですが、これから家族で夕食というときに、がらっと玄関が開いて、近くに住んでいるいとこが入ってくる。話が始まる。そうするとご飯が出てくるのは当たり前という雰囲気。夫もすぐ「ご飯を準備しなさい」と言います。そのときに、「来るなら一言言ってくれればいいのに」と思ってしまう。日本では人数分をきちんと作ることが多いので感覚が違う。そして、そのいとこがさんざん食べてしゃべって夜中に帰っていった。これが日本だとどうですか。たとえいとこでも、前触れもなくご飯時に来て夜中に帰っていったら、建前では「また来てね!」と言いますが、あとで「まったく厚かましい、人の迷惑も考えないで」と言うでしょう。でも向こうではその感覚はごく当たり前です。それだけ、愛情の表現の仕方も付き合い方も深いし、強いのです。だから結果として情の関係も深い。日本は親戚でも普通の人間関係でも比較的淡白です。愛情表現が淡白である分だけ、人間の情のつながりも淡白な気がします。もちろん、韓国では親密すぎてけじめがつかないという課題もあるようですが、どこの国にも良いところ悪いところがありますから、いい面は学ぶべきでしょう。

 A-⑰とB-⑱も同じです。「夫婦で手をつないで歩くことがありますか?」

 この質問を講演会で聞いてみますと、「はい」と言うのは、100組の内2040組です。

 一生涯一度も手を握ってくれなかったら、奥さんも恨みになるかもしれません。これは理屈ではないのです。例えば、二人で道を歩いていた。妻がそばに寄ってきて夫の腕を取った。中には「恥ずかしい、年甲斐もなく……」と振り払う人もいます。しかし、そういうふうに妻が自分の腕にすがってきたとき、男は嬉しいですか、嫌ですか? 実際は嬉しいのです。最初は驚くでしょう。うちの女房にもまだそういう世界が残っていたのかという驚きです。「自分を慕ってくれているんだな」ということが伝わるから嬉しいのです。

 逆に道を歩いていて、夫がそばに寄ってきて妻の手を取ってくれた。奥さんは嫌ですか、嬉しいですか。それは男性が考えているよりも、はるかに嬉しいのです。なぜなら、「夫は自分を愛してくれている」と感じるからです。

 そういうちょっとした行動ですが、やれば愛情が伝わるし、やらなければ何も伝わりません。理屈ではないのです。そういう意味では、私たちははっきりと相手に伝わるように言葉で表現し、態度で表現すること、これが夫婦の間で信頼が高まり、お互いが愛しくなるために必要なことなのです。

 世の中には、「ほどほどの仲のいい家庭」はたくさんあります。しかし、今のままで何もしなければ、一生「ほどほど」で終わりです。「めでたさも中くらいかなおらが春」という一茶の句がありますが、「嬉しさも中くらいかな我が夫婦」、それくらいで終わりです。「ああ、あなたと結婚して良かった。夫婦になって良かった。本当に幸せだった」と、深い幸せを実感として噛みしめるというまでには至らないと思います。

 やはり、私たちは結婚した以上、本当の喜びを感じなかったら、結婚した意味がないのです。でもそれは不可能でも何でもない、ちょっと努力すれば手に入るのです。

 いずれにせよ、愛情表現をはっきりする努力は必要です。私も最近まで単身赴任で5年ほど東京でした。月に一回くらいしか帰れません。久しぶりに帰ったときはまず、「お母さんただいま」と妻を抱擁します。次に今はもう大学生になった娘をしっかり抱いてやる。そして下の息子もしっかりと抱いてやる。最初は意識してやっていたのですが、ずっとやっていたら、それが自然と我が家の習慣のように溶け込んできました。やはり、するのとしないのとでは情の親密さが違うのです。した分だけ情が濃くなることを感じます。

 日本は極端にいえば、何の愛情表現をしなくても問題にならない国です。「いちいち口で言わなきゃ分からねぇのは、人間じゃねえ……」というような浪花節の世界があります。でもこれだけではだめです。やはり愛情は言葉でも態度でもできるだけ表現する。そのことによって、より強く愛情を実感して、それが嬉しくて愛情を返す。するとそれが嬉しくてもっと大きな愛情を返す。愛のキャッチボールが始まります。

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 次回は、「愛のキャッチボール……不思議な愛情世界の法則」をお届けします。


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