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43とも倶楽部誕生物語 40
ユダヤ式家庭教育

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 ユダヤ人は世界人口の0.2%ですが、世界の富の半分を持っているといわれています。
 また、ノーベル賞の20%を受賞しています。

 どうしてこのような現象が起こるのでしょうか。それはユダヤ人がたどってきた歴史に理由があります。

 5000年のユダヤ史は迫害の連続でした。特に紀元1世紀にローマ帝国に滅ぼされてから、ユダヤ人たちは2000年間世界中を放浪し、亡国の民といわれました。

 そんな彼らには、次のような格言があります。

 「目に見える財産はいとも簡単に奪われる。ただ私たちの頭の中にある知恵だけは、何人(なんぴと)たりとも奪うことはできないであろう」

 このようにどんなことがあっても一人でたくましく生き延びることができるように、家庭教育に力を入れ、決して学校に頼ることをしませんでした。

 その考え方の一つに、「葬式ベース」というものがあります。

 「人生でもらう通信簿には2種類ある。一つは学校でもらう通信簿、これはあまり気にしなくて良い。もう一つの通信簿は自分のお葬式の時にもらう。その通信簿は一生かけて上げるように努力しなさい。何人の人が自分のお葬式で涙を流して別れを惜しんでくれるか。そのため、まず与えること、そして貢献すること、これを人生の物差しとしなさい」

 ユダヤ人は、どんな場所でも生きていけるように営業力を身に付けさせます。
 いかに友達をつくるか、信頼関係を深めるにはどうするかなど、課題を与えます。
 その時、ヒントは与えますが、答えは教えません。試行錯誤する中で問題解決型の思考法を身に付けさせるのです。

 この原稿を書きながら、中村久子さん(明治から昭和期の興行芸人、作家。両手・両足の切断というハンデにもかかわらず自立した生活を送った女性として知られる)のお母さんが、自分がいなくても自立できるようにと、心を鬼にして、一人前のお針子に育てた話を思い出しました

(続く)

参考:『ユダヤ大富豪に伝わる最高の家庭教育』(天堤太郎・著、青春出版社)