中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
  第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

第15回「家庭連合への批判」について考える(上)

(中和新聞 2022年9月16日 通巻1496号より)

 このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は「家庭連合への批判」について考えます。

 202278日に安倍晋三元首相が凶弾に倒れてから、家庭連合(旧統一教会)に対する過剰とも言えるマスコミ各社の報道が続いています。事件発生から2か月以上が経過した現在もなお、その報道はやむ気配がありません。今回は、家庭連合への批判について、家庭連合を擁護する立場ではない人々の主張を中心に、そのポイントを確認します。

家庭連合への解散命令を請求すべきか
 家庭連合による「霊感商法」の被害などを根拠に、「宗教法人の所轄庁である文部科学省は、裁判所に家庭連合への『解散命令を請求すべき』であり、『宗教法人格を剥奪すべき』」といった主張が聞かれます。

 この点について、家庭連合への名称変更を「承認すべきではなかった」と発言し、家庭連合に極めて批判的な立場を取る前川喜平氏(文化庁宗務課長などを歴任)は、次のように述べています。

 「(宗教法人法の)条文は《法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと》となっていて、著しく害していることが明らかでないといけない。(中略)警察が『これは犯罪だ』と摘発して、教団の幹部を裁判にかけるところまでいかないと、所轄庁は解散命令を請求するところまで材料を揃えられない。明覚寺事件や法の華三法行事件では警察がいずれも詐欺罪で摘発した。統一教会はあの当時も今も、そこまでいっていない」(『月刊住職』20229月号)

 実際、202285日に二之湯智・国家公安委員長(当時)が発言したように、2011年以降、家庭連合に対する「被害届」はあっても、「検挙」はないのが実情です。

 また、家庭連合の信徒に対する刑事事件の裁判でも、家庭連合自体が違法行為を行ったと認定された事例はありません。さらには、家庭連合の田中富広会長が記者会見(2022年8月10日)で明らかにしたように、家庭連合を被告とする係属中の民事裁判は5件であり、ピークだった98年の78件と比較すれば激減しているのです。

 このような宗教法人に対して解散命令を請求することがいかに無理筋か、かつての担当者だった前川氏でなくとも理解できるはずです。

 家庭連合の活動を規制するために、フランスの「反セクト(カルト)法」を日本でも制定しようという声があります。紙幅の関係上、反セクト法についての詳細な説明は省きますが、「『セクト的な逸脱行為』に注目して規制しようとする法律」である同法によって解散命令が出された事例はありません。

 フランスのカルト規制を研究してきた憲法学者の中島宏・山形大学教授は、「セクト規制法(反セクト法)は穏当に運用されてきたのが実態」「信教の自由や思想・良心の自由を侵害しないよう慎重に判断しているからでしょう」(「朝日新聞」202296日付朝刊)と述べています。

 パリにある宗教・社会科学研究所のナタリー・ルカ所長は、宗教をめぐる日仏の違いを前提に、「宗教団体を狙い撃ちにした法を作らなくても、既存の刑法や行政法を改正することで、裁くことはできる」と強調(「産経新聞」2022911日付)。フランスへの安易な追随に警鐘を鳴らしました。「信教の自由や思想・良心の自由」を尊重し十分に配慮した冷静な議論が求められるのは、言うまでもありません。

■家庭連合は「反社会的勢力」ではない
 家庭連合を批判する人たちは、家庭連合が「反社会的勢力(団体)」だと、声高に主張します。この点について、まず、家庭連合批判で中心的な役割を果たしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)の事務局長、川井康雄弁護士のコメントを見てみましょう。

 「旧統一教会など宗教団体を反社会的勢力と定義する法律がなく、認定は難しい。いわゆる暴対法などでは反社会的勢力だと認定する根拠があるが、(宗教団体については)その法律的根拠が日本にはない。ですから一律に反社会的勢力などと決めるのではなくて、1つ1つの個別の状況を見ていって、要件を段階的に整備することが必要だ」(TBSNスタ」202281日)

 「反社会的勢力」とは本来、暴力団とそれに類する団体を指す言葉であり、家庭連合のような宗教団体を含まないことは、全国弁連の弁護士たちも重々承知しているのです。

 また、日本共産党の宮本徹・衆議院議員による質問主意書(2022年8月3日)に対して、岸田文雄首相は答弁書(8月15日)で、「政府として」は、家庭連合は宗教法人法に基づき設立された「宗教法人であると承知している」と明記しています。

 現在も家庭連合が「反社会的勢力」であるかのように指摘する識者たちがいますが、家庭連合はれっきとした宗教法人であり、紛れもなく合法的な団体なのです。

 元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏は、202299日に放送されたBSフジの番組内で、「統一教会の人たちは政治から排除しろ」といった野党議員たちの主張に対して、以下のような発言をして話題になりました。

 「日本はいつの間に全体主義国家になったんだ。日本の自由主義・民主主義は一体どうなったんだ」「これは独裁国家のやるようなことじゃないですか」

 家庭連合を一方的に「排除」しようといった批判の声に対して、事実や良識に基づく対応が求められます。次回も引き続き、「家庭連合への批判」について解説します。

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 次回は、「『家庭連合への批判』について考える(下)」をお届けします。

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