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ダーウィニズムを超えて 9

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第一章 進化論を超えて
新創造論の提唱

(三)連続的か、瞬間的か、段階的か

10)段階的創造
 次に、統一思想の新創造論の立場から、以上のような事柄に対して検討してみよう。ホメオボックスの突然変異、中立突然変異、ウイルスの作用、宇宙から降る遺伝子などはみな偶発的であり、破壊的なものであって、そこから生じるのは奇型、病気、怪物などでしかないのであって、生物をより高次元に進化させるようなものではありえない。より高次なものに進化するためには、偶発的な力でなくて、創造的な力でなくてはならない。

 ダイナマイトをでたらめに爆破させれば破壊作用を起こすだけであるが、計画的に用いれば創造的な土木工事を推進することができる。生物の場合も、それと同様である。すなわち突然変異、ウイルス、宇宙からの遺伝子などが偶発的に作用すれば、生物を傷つけるだけであるが、それらが計画的に作用すれば、生物は創造的に高次のものへと高まっていくのである。したがって、神が計画的に遺伝子組み換えを行いながら、生物を低次のものから高次のものへと創造されていったと見ればよいのである。そしてその際、ウイルスを用いたり、宇宙線を用いたり、宇宙から生命の材料を運んだりした可能性もありうると見るのである。神は最高の遺伝子エンジニアなのである。

 新創造論は、キリスト教の特殊創造論が主張するように、文字どおりに、6000年前に6日間で一挙に宇宙と生物が創造されたのではないと見る。創造は長い時間をかけて段階的になされたのである。ある一時期において、神からの創造的な力がインプットされることにより、生物は飛躍的に前進し、新しい種がつくられる。そしてその段階が完成し、次の段階を準備するための一定の期間が経過した後に、再び創造的な力がインプットされて、次の新しい種がつくられるというように、段階的に創造されたと見るのである。

 イントロンや偽遺伝子の役割について言えば、金子・中野のように「次なる大飛躍に備えて変異を蓄える」というのではなくて、「次なる創造に備えて新しい遺伝子を準備する」と見ればよい。

 ミルトンが、進化の新しい見方に鍵となる三つの事柄があるというが、それも新創造論の立場から次のように理解される。

 第一に、自然は失敗なしに目標を達しているということは、神のロゴスによって計画的に創造されたのだから、当然のことである。

 第二は、細胞レベルを超越した一貫したプログラムの存在である。統一思想は、すべての存在や現象は性相面(心的要素、機能)と形状面(構造、形態)の二側面からなると見ている。したがって、細胞の背後に(特に遺伝子の背後に)生命そのものが、あたかも電波のように作用していると見るのである。そして、それは宇宙に充満している生命の波動につながっているのである。その生命の波動が遺伝子を統合するプログラムを伴っていると見るのである。

 第三は、精神的要素が遺伝子に影響を及ぼしている可能性である。統一思想では、生物が第一の存在から第二の存在に飛躍するためには、第三の力つまり宇宙的な力が外部から注入されなくてはならないと見ている。宇宙的な力とは、神が生物に及ぼしている創造力のことであり、精神的な力である。ミルトンが言う精神的要素が遺伝子を変えうるということは、まさに神の創造力の作用を科学的に認める立場である。

 今西の主体性の進化論と、グールドとエルドリッジの提示した断続的進化論は、その外観においてよく似ていた。すなわち生物はごく短時間における飛躍的な進化と、現状維持の長い停滞期とを繰り返してきたというのである。これらは統一思想の段階的創造論と外観において一致するものである。ただ飛躍的進化を飛躍的創造に変え、現状維持的な停滞期を一段階が完成するまでの期間および次の創造の準備の期間と見ればよいのである。

 カンブリア紀における海洋無脊椎動物の爆発的な出現については、それらはやがて創造される魚類、両生類、爬(は)虫類、哺乳類などの材料として造られたものであると見ればよい。ここで「材料として」という意味は、それ以後の生物に必要な遺伝子が材料として準備されたということである。

 今日、科学者は遺伝子組み換え──DNAの特定部分を切り出し、別のDNAの中に組み込むこと──を行うようになっている。最近のめざましい例では、日本の醸造会社「サントリー」が不可能の代名詞ともいわれた「青いバラ」の開発に世界で初めて成功したことが挙げられる。このような遺伝子組み換えによる変わり種の開発は、神が遺伝子を組み換えて、新しい種を創造されたときの、その仕組みを科学者たちが学んでいることにほかならない。ただし、最高の遺伝子エンジニアである神は、種から種へと新しい種を創造されることができたのに対して、人間の場合、同じ種の中での変わり種をつくるにすぎないのである。

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 次回は、「熱力学の第二法則から見て」をお届けします。


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