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ダーウィニズムを超えて 8

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第一章 進化論を超えて
新創造論の提唱

(三)連続的か、瞬間的か、段階的か

(7)宇宙空間起源説
 イギリスの天文学者フレッド・ホイル(Fred Hoyle, 19152001)は、共同研究者のウィックラマシンジ(C. Wickramasinghe)とともに、「生命は宇宙から来た」というユニークな理論を展開している。遺伝子の破片が宇宙から大量に降ってきており、その遺伝子の破片を取り入れることによって生物は自らの身体を改造してきたというのである。実際、落下した隕石(いんせき)の分析、彗星(すいせい)の観測などから、DNAの構成要素である塩基のほか、アミノ酸などが見つかっており、彗星や小惑星、隕石、あるいは宇宙を漂う微粒子が、生命に必要な要素を地球に運んできた可能性は否定できない。しかし、それは生命の材料が飛来したということであって、生命そのものがいかにして生まれたのかということは依然として謎のままである。

8)特殊な遺伝子
 分子進化の中立説が提示されてその重要性が認識されていくとともに、遺伝子の中には、現役の重要な機能を果たしている遺伝子と、引退した用なしの遺伝子があるのではないかと考えられるようになった。そして実際に、DNAはその内部に「イントロン」と呼ばれる、全く意味をもたないブランクな部分をたくさん含んでいることが分かった。さらに、ある遺伝子をコピーして作られた遺伝子であるが、機能を完全に失っている「偽遺伝子(ぎいでんし)」というものが存在することも分かった。それではイントロンや偽遺伝子といったものはなぜ存在するのであろうか。それに対して、金子隆一・中野美鹿は次のように言っている。

 DNA生物は、常時、次の大飛躍のチャンスをねらって、イントロンや偽遺伝子に積極的に変異を呼び込むという戦略をとっているのではなかろうか。……DNA生物の遺伝子はそれ自身の中に、つねに次なる大飛躍に備えてさまざまな変異を蓄えるための何重にもわたるトラップ(計略)を張り巡らしているように思われる(*19)。

 さらにホメオティク遺伝子と呼ばれるものがある。ハエの触覚が脚になったりするなどという、昆虫の付属構造の異常をホメオシスというが、それに関係している遺伝子がホメオティク遺伝子である。そして各種のホメオティク遺伝子は、ホメオボックスという共通の塩基配列をもつことが分かってきた。ホメオボックスは、発生途中で生物の成長パターンをコントロールする遺伝子であると考えられている。そしてホメオボックス遺伝子に突然変異が生じると生物の飛躍的な形質の変化が生じ、大進化論も起こりうるのではないかと進化論者は期待しているのである。

9)新しい進化の見方
 リチャード・ミルトンは進化の新しい見方を提示するに際して、次のような、鍵となる三つの事柄があるという(*20)。

①試行錯誤を必要としない自然界の寸分たがわぬ正確さ。

②体の発達を制御する細胞レベルを超越した一貫したプログラムの存在。

③環境が何らかの方法で直接的に個体の遺伝子構造に影響を及ぼしているという可能性の大きさ。

 第一は、進化の中間段階を示す化石がないということによっても示される。すなわち、自然は失敗なしに目標に達しているのである。例えば、ヒトのまぶたはヒトの目をぴったり覆うというようにできており、まぶたが大きすぎたり、小さすぎたりというような欠陥をもつ生物はいないのである。

 第二の一貫したプログラムの存在において問題になるのは、そのプログラムがどこに組み込まれていて、どうやって引き出され、どうやって実行されるのかということである。遺伝子を統合するプログラムの由来は全く謎である。

 第三の遺伝子構造に及ぼす影響についてミルトンは、肉体的作用のみならず心理的状態も体細胞に影響を及ぼしており、その結果はウイルスによって生殖細胞に伝達される可能性があると述べている。例えば、疫学者は「癌(がん)パーソナリティ」というものがあると考えている(*21)。それは精神的な要素(過度の不安など)が体や遺伝の要素に転化されるという可能性を認めるものである。村上和雄も、強い精神的ショックを受けると、たった一息で髪の毛が真っ白になる例があるように、精神的な作用が遺伝子に影響を及ぼしていると考えている。そして、やがて精神作用が遺伝子におよぼす影響が明らかになるであろうと述べている(*22)。


*19 金子隆一・中野美鹿『大進化する進化論』246248頁。
*20 リチャード・ミルトン『進化論に疑問あり』249頁。
*21 同上、259260頁。
*22 村上和雄『生命の暗号』サンマーク出版、1997年、1819

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 次回は、「段階的創造」をお届けします。


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