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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

中国念頭に重要物資供給網構築でIPEF合意

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、522日から28日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 デサンティス・フロリダ州知事、大統領選出馬表明(24日)。習主席と露首相会談、制裁に対抗(24日)。露、ベラルーシ、戦術核配備で調印(25日)。重要物資供給網構築でIPEF合意(27日)。トルコ大統領選、現職エルドアン氏が勝利(28日)、などです。

 米国が主導する新たな経済圏構想(IPEF、インド太平洋経済枠組み)の閣僚会合が527日、米国デトロイトで開催され、サプライチェーン(供給網)強化策構築の協定締結で実質合意しました。

 合意内容は、感染症や紛争で半導体や重要鉱物などが不足した際に参加国が融通し合うというものです。
 経済安全保障上欠かせない重要物資の供給網を築く多国間協定は前例がありません。その意味で「歴史的」な協定だと言うことができます。

 IPEFは、バイデン大統領が昨年5月の訪日時に立ち上げを発表したものですが、発足以来の初めての成果となります。
 共同声明には「サプライチェーンの強靭(きょうじん)性、効率性、持続可能性を向上させる」と明記されました。

 会議に参加した西村康稔・経済産業大臣は記者会見で、「グローバル・サウスと呼ばれる国々も含めて強靭なサプライチェーンをつくっていくのは非常に大きな意義がある」と語っています。

 IPEFには現在、14カ国(日米や東南アジア諸国など)が参加していますが、中国などを念頭に特定の国への経済的な依存度を下げることを狙っています。
 経済安全保障の立場から重要な役割を担うことになるでしょう。しかしTPP(環太平洋パートナーシップ)協定とは異なり、関税の引き下げは含みません。

 IPEFは覇権的な広域経済圏構想である中国の「一帯一路」構想が念頭にあります。電気自動車(EV)などに不可欠なレアアース(希土類)は中国のシェアが高く、半導体生産が集中する台湾を巡っては、米中の緊張が高まっています。

 2010年秋、尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突する出来事がありました。
 公開された映像では明らかにぶつかってきていることが分かります。漁船の船長を逮捕した(後、釈放)ことを受け、中国は激しく反発。日本へのレアアースの輸出差し止め措置に出たのです。日本経済の弱点を突く制裁措置でした。今後もこのような事態の発生が懸念されているのです。
 協定の発効が急がれます。



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