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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

ウクライナ大攻勢前の、ロシア対独戦勝記念日

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、58日から14日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 カナダ、中国外交官を追放(8日)。中国、報復でカナダ外交官1人追放へ(9日)。ロシア、対独戦勝記念日開催(9日)。欧州委員長、キーウ訪問(9日)。バフムト前線からの露後退をウクライナが表明(10日)。米政府、「バイデン氏は17日に広島へ向かう意向」と発表(12日)、などです。

 ロシアの対独戦勝記念日の59日、モスクワ・赤の広場で軍事パレードが行われ、プーチン大統領が演説しました。
 内容は基本的に昨年と大きくは変わらず、ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」と主張する軍事侵攻の正当化、西側批判、国内の結束・団結を呼びかける、というものでしたが、目立ったのは規模の小ささです。

 プーチン氏はウクライナへの軍事侵攻の続行を明言。「わが祖国の運命を決する闘い」「祖国に対する本物の戦争が再び行われている」「西側の目標はわが国の崩壊と世界の安全保障・国際法の破壊だ」と述べました。他国への侵略を国家防衛の戦いにすり替え、愛国心に訴えるものだったのです。

 また、2年連続で日本に言及。「日本の軍国主義と闘った中国兵士の偉業を記憶し、敬意を表する」と述べ、歴史認識において中国と共闘する姿勢を一層明確にしました。連携を維持、強化しようとする意図は明らかです。

 ウクライナは今、大規模な反転攻勢への準備を急いでいるといわれています。
 ゼレンスキー大統領は9日のビデオ演説で、「78年前の侵略者(ナチス・ドイツ)と同様、現在の侵略者が敗北するのは時間の問題だ」と強くロシアを非難しました。

 米シンクタンク「戦争研究所」は、露軍がほぼ全域で攻勢を停止し、弾薬を温存するために防御に切り替えていると分析しています。
 一方で、露軍は最新鋭戦車「アルマタ」を作戦地域に配備し、米欧戦車を破壊するための特別部隊を新たに編成しています。

 今年のロシアの軍事パレードは、昨年より大幅に規模が縮小されました。
 昨年同様、核弾頭を搭載できる弾道ミサイル「イスカンデル」などが登場し、核戦力を誇示しました。

 当初、戦車は装甲車を含む兵器や装備計125台が参加するとの触れ込みでしたが、パレードに登場した戦車は旧式「T341両のみ。計約50台にとどまったのです。
 さらに昨年は、全国20以上の都市でパレードが行われましたが、今年は中止になりました。
 今後、欧米の軍事支援を受けたウクライナの反攻が始まると見られています。

 プーチン政権は内外で苦境に立たされることになるでしょう。軍事パレードの規模の縮小は、ウクライナによる大攻勢に備えるためと言えます。パレードより実戦配備と訓練が急務なのです。

 軍事侵攻から23カ月。いまだ休戦、停戦の動きは見えません。しかし確実にロシア国内外の状況は悪化しています。プーチン氏は追い込まれているのです。



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