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ダーウィニズムを超えて 5

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第一章 進化論を超えて
新創造論の提唱

(三)連続的か、瞬間的か、段階的か

◯進化論
 突然変異が進化の素材を与え、自然選択が進化の方向を決めるというのが、ネオダーウィニズムの主張である。突然変異といっても、種を別の種に進化させるような大飛躍はありえない。突然変異は種の中での一部分の形質の変化にすぎないのである。したがって、生物は長い時間をかけて、突然変異を積み重ねることによって、徐々に、連続的に進化したのである。つまり生物はなだらかに、ゆっくりと進化したという漸進主義(gradualism)の立場である。

◯創造論
 6000年前に6日間で天地は創造された。生き物は種類にしたがって創造された。その後、ノアの洪水があったが、すべての生き物はつがいで箱舟の中に入れられて保存された。したがって、すべての生き物は、ほぼ同時的に、瞬間的に、創造されたのであり、天地創造以来、種は不変である。

◯新創造論
 生物は時間をかけて段階的に創造された。すなわち、既存の種に、神の創造力(宇宙的な力)が作用することによって、より高次の新しい種が創造され、その後、一定の時間が経過した後、再び神の創造力が作用することによって、さらに高次の新しい種が創造されるというようにして、段階的に創造されたのである。

 以上の進化論、創造論、新創造論の見解を図で表せば、図11のようになる。6000年前に6日間ですべての種が創造され、その後、種は不変であるというキリスト教の創造論は現代科学の立場からは受け入れ難いものである。それでは種は長い時間をかけて、連続的に徐々に進化したのか、あるいは長い時間をかけながら、段階的に創造されたのか、次に検討してみよう。

▲図11 連続か、瞬間的か、段階的か

1)突然変異の性格
 性によって親と同一ではない多様な子孫が生まれるが、性はただ、もともと存在している遺伝子を組み換えるだけであって、性によって新しい遺伝子を作ることはできない。突然変異だけが新しい遺伝子を作ることができる。それゆえ種を超えた遺伝的な変化を可能にする唯一のものは突然変異なのである。したがって、ミルトンが言うように「進化論の運命はすべて突発的な遺伝子突然変異にかかってくる(*14)」のである。

 ところが実際に観察される突然変異とは、種を超えるようなものではなく、種の中での微小な変化にすぎない。突然変異説を唱えたド・フリースが観察したマツヨイグサでは、葉の形、枝の分かれ方、丈の高さ、花弁の形が変化しただけで、それらはマツヨイグサの変わり種にすぎなかった。また遺伝学者は、彼らのモルモットであるショウジョウバエにX線を使って突然変異を人工的に起こしたが、そこで生じたのは目の色、羽の形、腹部の斑点などが変化しただけであり、依然としてショウジョウバエのままであった。

 突然変異はほとんどが有害なものであって、種の中での変形または奇形を生じるだけである。そのような性格の突然変異でもって、生物はいかにして、低次の種から高次の種へと進化していくというのであろうか。ミルトンが言うように、「ネオダーウィニズムが直面しているあらゆる困難の中で、有益な新形質をもたらすような遺伝子突然変異が自然発生的に起こりそうにないことは最大の懸念である(*15)」のである。


*14 リチャード・ミルトン『進化論に疑問あり』174頁。
*15 同上、193頁。

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 次回は、「疑わしくなった漸進的進化」をお届けします。


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