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コラム・週刊Blessed Life 263
中国外交の偽善をさらけ出した中国の駐仏大使!

新海 一朗

 4月26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と中国の習近平国家主席は、およそ1時間の電話会談を行いました。
 両国の首脳が言葉を交わしたのは、実に昨年(2022年)2月のロシアの侵攻開始以来、初めてであり、ロシア寄りの姿勢で情勢を見守ってきた中国がようやく会談に踏み切ったという格好です。

 中国の大使をウクライナに置くと語った習近平の任命行為を、ゼレンスキー氏は「両国関係を進展させる力強い推進力になるだろう」と述べました。
 習主席は、中国は「責任感のある多数派の国」として「対岸の火事を眺めることも、そこに燃料を加えることもしない。ましてや、この危機から利益を得ようともしていない」と語ったといいます。

 西側諸国と違い、中国はロシアの侵攻について中立の立場にいるように見せていますが、ロシアとの強い関係を隠そうとはせず、ロシアのウクライナ侵攻を非難してもいません。
 3月には習主席が2日間にわたりロシアを公式訪問したばかりです。習氏はロシアのプーチン大統領を「大切な友人」と呼び、12項目からなる和平案を提示しました。

 一方で、ロシアへの武器供与は約束しませんでした。中国の和平12項目は、ウクライナと西側諸国から批判されています。
 ウクライナの将来の安全保障や、ロシアに占領された領土について明確な計画が示されておらず、ロシアに対して行われている一方的な制裁の解除を求めているからです。

 中国が戦争終結に協力する可能性は低いと思われます。
 これは、ロシアがウクライナの領土から軍を撤退させる様子が見られないからだけでなく、ゼレンスキー氏が「領土での妥協と引き換えの平和はあり得ない」と強調しているからです。
 また、習氏とプーチン氏の友好関係に加え、中国がロシアとの貿易を拡大していることや、「侵攻」という言葉を使うことすら否定していることなどからも、中国が仲介役になるのか疑問の声も上がっています。

 この習・ゼレンスキー会談に先立つ421日、中国の盧沙野・駐仏大使が、ウクライナなど旧ソビエト連邦諸国の主権を疑問視する発言をしたことで、欧州全土からの強い反発を引き起こしました。

 盧氏の発言は、21日放送の仏放送局LCIのインタビューの中で出ました。
 ロシアが2014年に併合したクリミアについて、国際法上はウクライナの一部だとインタビュアーは主張しますが、これに対して盧氏は、クリミアの地位は明確ではないとの考えを示しました。

 そして、「旧ソ連諸国(ウクライナなど)は国際法上、有効な地位はない。主権国家としての地位を認める国際合意が国際法上ないからだ」と主張しました。
 ウクライナは、国際法をよりどころに主権を主張することはできないと示唆したのです。

 ある意味では、中国の本音、習氏の本音を述べた爆弾発言であったと思われます。
 盧氏の発言は、ウクライナとロシアの間で仲介役を務めたいと語る習氏の「偽善外交」をつぶし、中国の偽りに満ちた外交を世界にさらけ出す効果(西側から見て)があったということになります。

 ウクライナのポドリャク大統領府顧問は23日、盧氏の国際法の解釈を「ばかげている」と酷評し、「中国が政治的に大きな役割を果たしたければ、ロシアのプロパガンダをおうむ返しにすべきではない」と述べました。

 ウクライナは国際法上、主権国家として有効な地位を有していないなど、これほどウクライナを侮り、正義の味方ぶる態度が中国外交に隠されているのだとすれば、世界は中国を絶対に信じなくなるでしょう。