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中和新聞セレクト Vol.7
家庭力アップ講座 13

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第7弾は「家庭力アップ講座」(多田聰夫氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』20137月~20163月に全19回で配信されたシリーズです。

13回 積極的聞き方

(中和新聞 2015年2月13日 通巻737号より)

[第3章]授受作用について

<3> 愛情の伝え方(聞き方、話し方)

積極的聞き方

子供の気持ちを理解、「人生の応援団長」に
 子供が成長していくにつれて、だんだん子供の気持ちが分からなくなっていませんか。親は、いつまでも「子供の人生の応援団長」でありたいのですが、子供の心が分からなければ、そのようになれないでしょう。

 前回の「共感的聞き方」は、子供に親の愛情が伝わる確かな方法ですが、今回の「積極的聞き方」も同じように、子供に親の愛情が伝わる聞き方です。

 知識だけ理解し、家庭で実践しようとしても、うまくいかないことがありますが、相手の気持ちを分かってあげたいという「ために生きる」実践を続けていくならば、必ず子供の気持ちにうまく共感していくことができるようになるのです。

 「積極的な聞き方」は、次のような三段階を経ます。まず、相手が言った言葉を繰り返します。次に、相手の言葉を、別の言葉に言い換えてみます。そして次の段階では、相手の心を酌み取って共感的に理解するようにします。

「共感的聞き方」を繰り返しながら「積極的聞き方」を実践する
 「共感的聞き方」は、子供に親の愛情が伝わる確かな方法です。「積極的聞き方」も「共感的聞き方」と同じように、子供に親の愛情が伝わる聞き方です。

 「共感的聞き方」を何度も繰り返して実践することで、「積極的聞き方」が自然にできるようになります。この「積極的な聞き方」は、特に子供が問題を抱えているとき、例えば、子供が、落胆、焦り、苦痛などの感情を表現するときに有効です。

 「積極的な聞き方」は、子供に心を開かせ、自身の欲求や本当の感情を打ち明けさせることができます。これができるようになれば、次の段階で、親も受け入れられるような、子供の欲求を満たす方法を見つけやすくなるのです。人の話を聞くことは、愛情を伝える、感じさせる最も有効な方法です。

 以下の会話は、「家族の心が育つ教育」などをテーマに活動している親業シニアインストラクターの江畑春治先生が紹介している、親と子の会話例です。母親が子供の感情を適切につかんでいる点を確認しながら読んでみてください。

[中学1年生と母親の会話例]
(子供)お母さん、僕、テニス部を辞めて柔道部に入りたいんだけど、駄目かな。

(母親)あら、テニス部より柔道部がいいのね。

(子供)そうなんだ。柔道部は強くなると段がもらえるしさ、男らしくていいと思うんだ。

(母親)そう、柔道部のほうがいいように思えるのね。

(子供)そう、テニス部なんかよりずっと面白そうだよ。テニス部は嫌だよ。

(母親)そう、テニス部はもう本当に辞めたいと思っているようね。

(子供)やめたい気分だよ。1年生は球拾いばっかりなんだ。まだ一度も打ったことがないんだよ。

(母親)球拾いばかりで、嫌になってしまったのね。

(子供)そうなんだよ。球拾いにはもううんざりなんだ。それに上級生がものすごく威張ってるんだ。

(母親)球拾いの上に、上級生に威張られて、嫌になってしまったわけね。

(子供)そうだよ。しかも女子の上級生のほうが威張っていて、時々、ラケットで頭をぶつんだよ。

(母親)女子の先輩もそんなことするの。新入生も大変なのね。

(子供)そう。でも、どの人もそういうわけじゃないんだよ。とてもいい人もいるんだから。

(母親)とてもいい人もいるのね。

(子供)そうさ。だから1年生は先輩がちゃんと練習できるように、球拾いをして協力しているのさ。

(母親)先輩の練習に協力しているわけね。

(子供)そうだよ、球拾いする人がいなければ、上級生が困るだろ。みんなそうして上級生になっていくんだよ。

(母親)上級生も1年生の時は球拾いしたんだと気が付いたようね。

(子供)そうだよ。明日から一生懸命球拾いするんだ。時々なら打たせてくれるし、素振りの練習もつけてくれるんだよ。

(母親)そう、テニス部を続けるつもりになったようね。

(子供)うん。柔道部のことは、また高校に入った時にでも考えるよ。

(母親)そう。じゃあ、頑張ってね。

問題解決の能力をうまく引き出してあげる
 この母親は、自分から解答を示してはいません。また、教えることもしていません。逆に子供自身が、問題の解決方法を見つけ出しているのです。子供には、いろいろな能力が備わっています。もちろん、問題を解決する能力もあるのですが、それがうまく引き出すことができないだけなのです。

 親が解答を示し、指示して、「さあ、分かったでしょ。頑張りなさい」。それで問題が解決できたとしても、これでは子供は何も成長できていないのです。問題解決の解答を子供に見つけさせる、自分でその方法を実践する決意をさせる、そうすることによって、子供の心は成長していくことができます。子供の成長の可能性を信じて忍耐強く待ち、相手の気持ちを分かってあげたいとの思いで話を聞くようにし、気持ちを引き出すことに努めてみましょう。

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 次回は、「私メッセージ」をお届けします。

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