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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

岸田首相のウクライナ電撃訪問

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、320日から26日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 「ウイグル虐殺続く」、米人権報告書(20日)。習近平主席ロシア訪問、プーチン大統領と会談(21日)。岸田首相ウクライナ訪問、ゼレンスキー大統領と会談(21日)。韓国、日韓間のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)正常化を日本に通知(21日)。米国防総省、戦車「エイブラムス」を秋までに提供(21日)。韓国最大野党の李在明代表を在宅起訴(22日)。対日外交批判、ソウルで野党と市民2万人集会(25日)。台湾、中米のホンジュラスと外交関係断絶と発表(25日)、などです。

 岸田首相は21日午後、ウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と初の対面形式で会談を行いました。
 日本の首相が、戦地や戦闘が継続的に行われている地域を訪れるのは戦後初めてのことです。今後の良い先例となることでしょう。

 岸田氏は、ゼレンスキー氏との会談に先立ち、虐殺の地となったブチャを訪問。教会で犠牲者を追悼し、献花しました。
 その場で、「強い憤りを感じる。日本はこれからもウクライナの平和を取り戻すために最大限の支援をしたい」と述べています。

 首相のウクライナ訪問は、まさに絶妙なタイミングでした。国際刑事裁判所(ICC)が317日に戦争犯罪の容疑でプーチン大統領に逮捕状を出したばかりであり、20日には中国の習近平主席がロシアを訪問、岸田首相のウクライナ訪問当日の21日にはプーチン大統領と会談に臨んでいたのです。
 習氏がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領とも協議するという観測もあったのですが、岸田氏のウクライナ訪問によりそれが「阻止」されたことになります。

 この日中「外交対決」に欧州メディアは注目しました。
 英BBC放送は「日中首脳がウクライナ戦争で対立する首都を訪問」したと伝えています。日本がウクライナ侵攻に大きな懸念を抱くのは、中国による台湾侵攻という最悪のシナリオと重なるからと、解説を加えています。

 バイデン米政権は21日、岸田首相によるウクライナ訪問に対する強い支持を表明し、「ウクライナ支援における世界のリーダー」などと歓迎しました。サリバン米大統領補佐官(安全保障担当)は、岸田首相のウクライナ訪問について「素晴らしい」とツイッターで歓迎し、高く評価しています。岸田外交の大きな得点となったといえるでしょう。

 報道によれば、ウクライナ訪問の計画は1カ月ほど前から極秘裏に進められていました。途中で計画が漏れれば即中止という前提で進められたようです。

 ウクライナ訪問の目的は、G7(先進7カ国)の議長として、ロシアによる侵略を非難しウクライナへの連帯と支援の継続を伝えるためでした。
 G7の中で、ウクライナを訪問していないのは岸田首相のみとなっていたのです。そのため、5月の広島サミット前に訪問し、議長国として「法の支配に基づく国際秩序」を守り抜き、支援を主導する姿勢を世界に発信する必要があったのです。

 これをもって日本は、G7議長国としてウクライナへの支援策などを巡る議論をまとめやすくなりました。なお、議長国の役割は5月で終わりではありません。来年の議長国イタリアにバトンタッチするまで全力疾走しなければならないのです。

 今後、中露の反発、特にロシアの反発・報復も予想する必要があります。
 ロシア国防省は21日、日本海上空をロシア軍の長距離爆撃機2機が約7時間にわたって飛行したと発表しました。

 今後中国の反発も加わることでしょう。岸田政権はG7議長国として堂々とぶれずに戦い抜いてほしいものです。
 野党がケチをつけている広島名産の「必勝しゃもじ」をゼレンスキー大統領に贈呈したことは、正しいことです。侵略戦争に対して防衛する闘いを励ますのは当然のことです。



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