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43とも倶楽部誕生物語 25
学歴社会の出現と「会読」の喪失

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 江戸時代に素晴らしい効果を上げた「会読」が明治に入ってから急速に消えていきました。
 なんとも不可思議なことなのですが、それにはちゃんとした理由がありました。

 「士農工商」という制度によって支えられた封建制度が崩壊し、四民平等の近代国家になった日本は、基本的に差別はなくなり、正味の実力で出世できるようになりました。それが学歴社会の出現です。

 学力は試験の優劣によって決まります。江戸時代は競争のない社会でした。だからこそ会読する余地があったのです。
 ところが明治になって一斉に競争するようになると、会読するよりも1点でも多く点を取るため、ひたすら記憶し、問題を解くことに専念するようになりました

▲明治の小学校

 近代国家建設のために学校制度を作り、組織の一員として役立つ人材をたくさん育成することはできましたが、皮肉なことに問題解決型の人材は育たなくなりました。

 日本には西洋の優れた知識や技術を吸収して自分のものにできる基礎学力がありました。
 しかし、一度にたくさんの生徒を効率よく教える教育学がありませんでした。この学問だけは輸入に頼らざるを得なかったのです。(続く)