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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

北朝鮮が過去最大級の軍事パレードを実施

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、26日から12日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 トルコ南部のシリア国境地域で巨大地震発生(6日)。北朝鮮、過去最大級の軍事パレード実施(8日)。中国・武漢で大規模抗議活動、医療保険制度の変更を巡って(8日)。米下院、中国の気球侵入で対中非難決議を可決(9日)。韓国・慰安婦団体の前トップに罰金刑(10日)、などです。

 北朝鮮、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は何を狙っているのでしょうか。
 昨年1年間で37回のミサイル発射を行い、その数は70発以上となりました。もちろん過去最高の回数、発射数です。

 昨年4月に金正恩氏は「核の先制使用」に触れ、9月にはミサイル連射に関連して、「戦術核部隊の訓練である」と発表しました。
 核攻撃部隊が実戦配備段階にあることを示唆していると見るべきでしょう。

 韓日米は北朝鮮の核による脅しをまともに受ける状況に近づいているのです。
 ロシアのウクライナ軍事侵攻と核による脅しは、「パンドラの箱」を開けてしまいました。北朝鮮はロシアにより開かれた道を「なぞる」ように行動しています。

 28日夜、平壌の金日成広場で朝鮮人民軍創建75年を祝う軍事パレードが行われました。
 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」や新型ミサイルと見られる兵器が登場。さらに金正恩総書記は李雪主(リ・ソルジュ)夫人や娘と共に参加しています。娘は第二子の長女、金(キム)ジュエと見られます。

 朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は9日、計10ページに150枚の写真を掲載し軍事パレードの様子を伝えました。
 韓国の研究機関によれば、11軸の移動式発射台(TEL)に載った「火星17」と見られるミサイルは少なくとも11基登場したといいます。これまでの最大は6基でした。最大級の軍事パレードだったのです。

 特に注目されたのが「火星17」の後に登場した、片側9輪のTELに載ったミサイルでした。迷彩柄の発射管の中にあるため外形は不明でしたが、専門家は北朝鮮が開発を進める固体燃料式のICBMの可能性が高いとしています。

 韓国・北韓大学院大学の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は、米全土に到達可能な「火星17」など、北朝鮮が複数種の液体燃料式ミサイルを保有済みだと指摘。登場した新たな新型ミサイルは、2019年に発射された潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」系列の可能性が高いといいます。固体燃料式ミサイルなのです。

 パレードではこの他、「戦術核運用部隊」も行進しました。韓国全土を射程に収める「超大型ロケット砲」や日本に届く変則軌道の弾道ミサイルなどの発射を担っている部隊です。

 金正恩氏は何を狙っているのでしょうか。現バイデン政権との交渉を放棄し、次期米政権、できれば共和党政権との交渉を狙っているものと思われます。交渉材料の準備を整えていると見るべきでしょう。
 それは同時に北朝鮮の最大の、それも潜在的脅威である中国をけん制する意味を持っているものと言えるでしょう。

 いずれにしても「賭け」です。



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