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進化論から新創造論へ 20

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「進化論から新創造論へ」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 人間の祖先は本当にサルなのか? 統一思想からの提案は、科学的真理のように装ってきた進化論の終焉(しゅうえん)を告げる!

統一思想研究院 李相軒・編著

(光言社・刊『ダーウィニズムの誤りと統一思想からの提案 進化論から新創造論へ』より)

統一思想による新しい創造論

(3)段階的創造
-神の力が作用することによって飛躍的な変化が起こった-

 このように、自然選択によって種が変化するというネオダーウィニズムの主張には無理があります。一方、新ラマルク主義は環境の変化に対応して種が自ら変化すると主張しています。しかし新ラマルク主義が明らかにしているのは、免疫寛容性の獲得とか、薬剤耐性の獲得のようなもので、種の変化とはとても結びつかない低い次元での変化のことなのです。

 統一思想から見るとき、すべての存在は自己同一性と発展性の両側面を持っています。つまり生物は種の同一性を維持しながらも、環境に対応して変化するという側面も持っています。結局ネオダーウィニズムも新ラマルク主義も、ともに種の枠内での変化を「拡大解釈」して、種が変化すると結論しているにすぎません。

 一つの種が、形態においても機能においても、総合的な変化をして別の新しい種に変わっていくためには、何らかの創造的な入力を認めなくてはなりません。ゆえに神の力が作用することによって飛躍的な変化が起こり、新しい種が創造されると見るのが統一思想の見解です。神がロゴス(設計図)に従って飛躍的な変化を起こされたのです。ではそれはどのようになされたのでしょうか。これを生物的にいえば、遺伝子の組み換えあるいはプログラムの変更がどのようになされたかという問題です。

 最近の分子生物学では、細胞間、個体間、あるいは種と種の間でウイルスが遺伝子を運ぶということが分かっています。遺伝学者の中原英臣(ひでおみ/1945-)と理論物理学者の佐川峻(たかし/1944-)は、現代の人為淘汰ともいえるウイルスによる遺伝子操作が自然界において起きたと考え、「ウイルス進化論」を主張しています。彼らは、ウイルスの本来の機能は病気を起こすことにあるのではなくて、種を超えて遺伝子を伝達したり、混ぜ合わせることにあるというのです(*41)。

 イギリスの著名な天文学者ホイル(F. Hoyle, 1915-)は共同研究者のC・ウィックラマシンジ(C. Wickramasinghe)と共に、「生命は宇宙から来た」というユニークな理論を展開しています。遺伝子の破片が宇宙から大量に地上に降ってきたのであり、その遺伝子を取り入れることによって、生物は自らの身体を改造してきたと述べています。そのとき、やはりウイルスが改造されたプログラムを個体群全体に広める役割を果たしたと言っています(*42)。

 ウイルスが遺伝子を操作しているという中原・佐川の説や、遺伝子の破片が宇宙から降ってきて生物はそれを取り入れるというホイル・ウィックラマシンジの説は、統一思想の創造論を科学的に支持する内容があります。神がそのような手段を通じて生物のプログラムを変更されたと考えることができるからです。ただし、「ウイルス進化論」はまだ十分に検証されたわけでなく、「生命は宇宙から来た」という理論もまだ一つの仮説にすぎません。

 ここでもう一つの例を挙げてみます。ブロック氏病(皮膚が黒ずんだ魚のうろこのようになる奇病)や先天性硬爪症(足や爪がひづめのように拡大する奇病)のような、遺伝子によって支配されている病気が催眠術による治療で治ったということです。ワトソン(Lyall Watson)はその事例を紹介しながら次のように言っています。「遺伝子のメカニズムに厳然と影響を及ぼす直接的かつ外的な力があったのである。心は分子生物学の神聖なる猟場にさえ忍び寄ってきているらしい(*43)」。これも神が遺伝子に働きかけるということがありうることを示す一例といえるでしょう。

 ともあれ、神がいかにして遺伝子を組み換え、生物のプログラムを換えられたかという問題の解明は、今後の課題であり、やがて科学者たちの研究の成果によって明らかになる日がくるでしょう。

 神の力が作用することによって、遺伝子のプログラムが変更され新しい種が創造されたと見るのが統一思想の見解ですが、そのとき古い種は必ずしも滅びたのではありません。新しい種が現れたあとも、多くの古い種はそのまま残されたのです(創造の過程においてのみ必要であった生物は新しい生物の出現とともに滅びました――後述)。

 また創造は連続的ではなくて段階的に行われたと見ます。神の力が作用して一つの種が創造されたのちには、成長期問あるいは準備期間ともいうべき一定の時間を経過したあとに、再び神の力が作用して新しい種が創造されるというようにして創造が行われたのです。これを「段階的創造」といいます(図17参照)。

 統一思想の主張する「段階的創造」は、外見的にはグールドの「断続平衡説」と似ているといえるでしょう。しかし断続平衡説の場合、隔離された少数の集団において、突然変異と自然淘汰によって種は進化していると主張していますから、本質的にはダーウィニズムと同じで、統一思想の新創造論とは根本的に異なっています。


*41 中原英臣・佐川峻『ヒトはなぜ進化するのか』泰流社、1986年。
*42 Fred Hoyle and Chandra Wickramasinghe, Evolution from Space, J. M. Dent & Sons Ltd., London, 1981.
 餌取章男訳『生命は宇宙から来た』光文社、1983年。
*43 Lyall Watson, Lifetide, 1979.
 木幡和枝他訳『生命潮流』工作舎、1982年、251

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 次回は、「形態学・発生学における進化の証拠について」をお届けします。


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