世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

尹政権、北朝鮮と「労組」の闇に切り込む

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、116日から22日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ロシア軍の兵員を150万人に増強、ショイグ国防相(17日)。韓国国情院と警察が民主労総本部を強制捜査(18日)。北が露へ兵器提供? 米が衛星写真を公開(20日)。米首都で中絶反対派が大規模デモ、さらなる規制強化要求(20日)。米司法省がバイデン氏の私邸捜索、機密資料6点を押収(20日)、などです。

 韓国の情報機関である国家情報院(国情院)と警察は18日、「国家保安法」違反容疑で韓国最大の労働組合として全国組織を持つ「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」のソウルにある本部などを家宅捜索し、強制捜査に着手しました。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は新年の辞で、「まず労働改革を通じて経済成長をけん引していかなければならない」とし、「未来がかかった3大改革」として教育改革などを挙げていましたが、その筆頭が「労働改革」でした。

 尹政権は法に基づく断固とした対応で臨む方針を打ち出しており、昨年12月には民主労総系団体による大規模ストライキを中断に追い込んでいました。
 昨年1124日に運輸業界のトラック運転手らが始めた大規模ストライキへの対応がそれです。

 韓国最大の労組・全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下の「貨物連帯」が、最低限の運賃を保障する危険月制度の恒久化を求めストライキを行い、全国の物流がまひしたのです。
 タンクローリー運転手が多く加わり、ガソリンやセメントが底をつき、ガソリンスタンドの営業や工事の中断が相次ぎ、損失は総額4兆ウォン(約4160億円)台に上ると推定されています。

 尹政権はストライキに妥協しない方針を表明し、軍の人員や車両を動員して、物流維持に努めました。
 さらに職場復帰しなければ罰則が伴う初の業務開始命令を2回出す強硬措置を取ったのです。

 経済への影響から、ストライキへの国民世論の反応は冷ややかで、貨物連帯はストライキ16日目の129日、組合員の投票でストライキ撤退を決定しました。

 尹政権は、これまで闇に包まれてきた北朝鮮と労組のつながりという最大級の疑惑にメスを入れることとなりました。
 民主労総の幹部は、海外で北朝鮮の工作員と接触して北朝鮮の指令を受け、反政府活動を行った疑いがもたれています。

 国情院と警察は最近、南部の済州道の革新系政党元幹部らの組織や、その上部の地下組織の拠点と見られる南東部の昌原などの施設を家宅捜索しており、北朝鮮の指令に基づく反政府活動疑惑の解明に着手していたのです。

 報道によれば、これらの組織関係者は2016年からカンボジアなどで北朝鮮の朝鮮労働党の工作部署「文化交流局(旧225局)」の工作員と接触し、「反米闘争」や「民主労総への浸透」「尹錫悦糾弾」の展開に関する指令や資金を受けて活動した疑いがあるといいます。

 北朝鮮との緊張が高まる中、尹政権は国内のかく乱要因を抑え込み、強い姿勢を維持する覚悟を固めたのです。
 今後の推移が注目されます。



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