43とも倶楽部誕生物語 16
43ともの意見交換の時間に守るべきルール

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 43ともの意見交換の時間に守っていただきたいルールについてお話しします。

 第1のルールは、感想文をそのまま発表し、書いてないことはしゃべらない、つまり、感想文はそのまま読むということです

 そうしなくてはならない理由が二つあります。
 一つは、書いてないことをしゃべってもよいとすると、話が長くなって止まらない人が出てきて、20分では終わらなくなってしまうからです。

 感想文は、わずか8分間で書かなくてはなりません。人前で発表する感想文でなければ気軽に書けるかもしれませんが、人に聞かせるわけですから、緊張して上手に書けない場合もあります。

 また、日頃文章を書くのが慣れていない人は、それこそ悩んだ末に一行しか書けなかったという場合もあります。
 それで発表する時に、書き足りなかった部分を補いたくなって話が長くなるのです。

 もう一つの理由は、書いてないことをしゃべってもよいとすると、自分の発表する順番が来るまで、そのことで頭がいっぱいになります。
 人の感想を聞いて、良いところを見つけなければならないのに「私もそう思っていたから、その部分を付け足そう」と考えてしまいます。

 集中して聞かなければ褒める言葉が見つけられないのに、別のことを考えているわけですから、ちゃんと褒めることができません。すると、結局盛り上がらない意見交換の時間となってしまいます。

 自分が発表する時は、感想文をそのまま読む、ということにすれば、余計な心配をしなくて済み、人の感想文を聞くことに集中できるようになります。

 第2のルールは、人の感想文を褒める時、批判、解説、意見は絶対言わないということです。
 褒めるというのは、「観点が良い」「その言葉が素晴らしい」「読み方が深い」「素直な性格が出ている」「実践しようとする意欲がすごい」など、簡潔な文言で終わるものです。

 ところが、解説や意見を話し始めると、話が長くなります。そういう話は、参考にはなるかもしれませんが、あまりうれしいものではありません。(続く)