青少年事情と教育を考える 20
親の9割「子どもの成長によろこび」

ナビゲーター:中田 孝誠

 子育てについて、最近はどちらかと言うと「大変だ」という声の方が大きくなっているのではないでしょうか。「子供はいらない」「産みたくない」といった否定的な声も聞かれます。確かに子育てには大変な時間と労力が必要です。
 厚生労働省が最近、「第7回 21世紀出生児縦断調査」という調査の結果を発表しました。2010年に子供を産んだ親(約25千人)に子育てについて聞いたもので、調査した昨年5月の時点で子供は小学1年生(7歳)になっています。

 これを見ると、もちろん負担や悩みはありますが、総じて子育てに喜びや楽しさを感じているという親の割合が高くなっています。
 このうち「子どもがいてよかったと思うことがある」という親は99.4%でした。
 さらに具体的に「よかったこと」を聞いて、9年前の2001年に出産した親の答えと比較しています(いずれも複数回答)。

 例えば「子どもの成長によろこびを感じる」という親は89.0%。2001年は79.1%で、10ポイント増えています。「子どもとのふれあいが楽しい」78.7%(2001年は72.6%)、「子どものおかげで家庭が明るい」77.8%(同73.7%)、「家族の結びつきが深まった」70.7%(同67.0%)、「子どもの将来が楽しみ」67.0%(同54.8%)など、全体的に肯定的な割合が高くなっています。特に「将来が楽しみ」は12ポイントも増えています。

▲出典:厚生労働省「第7回 21世紀出生児縦断調査」(画像をタップすると拡大してご覧になれます)

 もちろん楽しいことばかりではありません。「子育てを負担に思うことや悩みがある」という回答は75.2%です。項目で多かったのは、「子育ての出費」42.0%(同37.2%)、「自分の自由な時間が持てない」31.7%(同25.5%)、「身体の疲れ」26.6%(同17.2%)、「気持ちに余裕をもって子どもに接することができない」25.0%(同24.1%)などでした。


▲出典:厚生労働省「第7回 21世紀出生児縦断調査」(画像をタップすると拡大してご覧になれます)

 「子育ては負担もあるけれど、よろこびや楽しいこともたくさんある」―。多くの親が感じている自然の感情をもっと取り上げて、大きな声として伝えていくことも必要ではないかという気がします。