青少年事情と教育を考える 19
児童虐待と「若年(10代)妊娠」

ナビゲーター:中田 孝誠

 東京都目黒区で5歳の女の子が両親の虐待によって死亡した事件。本当に痛ましく、悲しい事件です。
 社会に衝撃を与えるような事件が起きると、国や自治体も対策を打ち出し、児童相談所の権限も強化されます。しかし、残念ながらこうした虐待事件は後を絶ちません。警察庁の統計では、過去10年間で毎年50人から100人ほどの児童が亡くなっています(昨年は58人が亡くなっています)。

 こうした児童虐待による死亡事例について、厚生労働省の専門委員会が虐待の原因や課題を分析し、報告書にまとめています。
 その報告書を見ると、虐待死事件で特徴的なのが「予期しない妊娠/計画していない妊娠」、つまり望まない妊娠の割合が高いことです。最新の平成27年度の報告書(第13次報告書)では、34.6%が「予期しない妊娠/計画していない妊娠」で生まれた子供でした。50%以上がそういう妊娠だった年もあります。

▲平成27年度の報告書を元に編集部が作図(画像をタップすると拡大してご覧になれます)

 そしてもう一つ、「若年(10 代)妊娠」の割合が高いのも大きな特徴です。27年度は25.0%でした。全年代の出産数に占める10代の出産数の割合は1.2%前後ですから、児童虐待死に占める10代出産の割合がいかに高いかが分かります。
 専門委員会は、虐待で亡くなった家庭では子供の成長発達を促すために必要な関わり(授乳や食事、清潔、情緒的な要求への応答、子供の体調変化の把握、安全面への配慮等)が適切にできない、養育能力に課題を抱えた親が多いと分析しています。

 もちろん、10代の親が全て虐待をしているというわけではありません。ただ、早い性行動によって妊娠・出産してしまうことで、孤立化したり家族の保護を受けられないまま虐待のリスクを高めている可能性は否定できません。また、母親が孤立化していると、妊婦検診を受けなかったり、自宅で一人で出産するなどして、生まれた段階で子供の生命を危険にさらすことにもなるわけです。

 虐待を予防するためには、妊娠期から子育て期まで継続的な支援や児童相談所の強化、関連機関の連携が必要でしょう。それとともに、性は人生にとってとても大切なことですから、「自分が心身共に成長するまで待つ」ことを教えるのも児童虐待の予防につながるのではないかと考えます。