43とも倶楽部誕生物語 14
褒めることが難しい理由

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 今回は、褒めることの難しさについて記します。

 人間は人の長所よりも短所を見つけることに長けています。
 それには合理的な理由があります。

 先史時代、人類は主に狩りをしながら食物を得ていました。そういう中で生き残るためには、いち早く危険を察知する能力が必要です。
 すなわち、今までと比較して変わった動きや色の変化、臭いなどを敏感に感じ取らなくてはなりません。ですから防衛本能として生まれながら身に付いているのです。

 しかし長所を見つけて褒めるには、努力が必要です。自分の中に良いものを探したいという目的、これは「愛」と言ってもよいかもしれません。
 嫌いな人の欠点は嫌でも目につきますが、良いところを見つけるのは容易ではありません。目を向けること自体に抵抗があるのですから

 一方、好きな人であれば欠点は気にならず、それさえも長所に見えてしまいます。「あばたもえくぼ」となるわけです。
 いつまでも見ていたいし、ちょっとした変化にも気付いて褒めることができます。

 つまり、いとおしい子供を見つめる親になるのと同じです。
 素晴らしいもの、美しいもの、感動するものを見たり聞いたりすれば、誰でも心が動き「すごい!」「素晴らしい!」と自然に褒め言葉が出ます。

 しかし人によって感動の振幅に差があります。少しのことでも感動できる人は、その人の立場に立って共感できる人であり、自己肯定感が高い人です。
 逆に人の気持ちが分からず、共感力が低い人は自己肯定感も低い人です。そういう人は、たとえ良いところを発見したとしても素直に褒めることができません。かえってひがみ根性が出てくるのです。(続く)