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進化論から新創造論へ 12

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「進化論から新創造論へ」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 人間の祖先は本当にサルなのか? 統一思想からの提案は、科学的真理のように装ってきた進化論の終焉(しゅうえん)を告げる!

統一思想研究院 李相軒・編著

(光言社・刊『ダーウィニズムの誤りと統一思想からの提案 進化論から新創造論へ』より)

現代進化論(ネオダーウィニズム)は間違っている

(3)生命の自然発生の説明の困難さ
-細胞内の精巧な化学工場はなぜ発生したか-

 進化論者は、生命の発生のプロセスを次のように説明しています。

 “今から46億年前、原始の地球をおおっていた原始の大気はメタン(CH₄)、アンモニア(NH₃)、水蒸気(HO)、水素(H₂)、窒素(N₂)などからなっていた。原始の大気に太陽からの紫外線や自然放電(雷)などが作用することによって、アミノ酸、糖、核酸塩基、有機酸などが生じた。これらが雨に溶けて原始の海に流れていき、蓄積されて「有機物のスープ」をつくった。スープの中でアミノ酸はつながってタンパク質となり、核酸塩基は糖、リン酸と結合してヌクレオチドとなり、ヌクレオチドはつながって核酸(リボ核酸RNAとデオキシリボ核酸DNA)となった。やがて原始細胞膜が出現し、核酸、タンパク質、膜からなる原始細胞ができた。そして原核細胞から真核細胞へと進化し、ついには細胞分裂を行うことによって多細胞生物へと進化した。”

 水蒸気、水素、アンモニア、メタンの混合気体に放電することにより、アミノ酸が生じることは、1953年のミラー(S. L. Miller,1930-)の実験によって確かめられました。さらにその他の化合物も合成されることが分かってきました。しかし、ここまでは比較的単純なプロセスにすぎません。生命体の材料となる有機物質ができたというだけで、生命の発生には直接結びつかないのです。これらが生命の発生と関わってくるためには核酸(DNARNA)とタンパク質(酵素)ができなければならず、むしろその段階に至るプロセスのほうが問題なのです(図11参照)。


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 有機物のスープから核酸とタンパク質ができるということは途方もない飛躍です。広く指摘されているように、有機物のスープから一定のタンパク質や核酸が偶然に生じるかというと、全くありえないことです。例えば一つのタンパク質が偶然に得られる確率について、ギッシュ(D. T. Gish)は次のように説明しています。

 わずか12の異なった種類のアミノ酸ででき、分子量が34000の蛋白質(大まかに言って約340のアミノ酸、比較的簡単な蛋白質)を考え、これらのアミノ酸の配列を考察してみると、それは実に10の300乗通りにもなる。言い替えると、原始地球上には10の300乗通りもの、同じ12種のアミノ酸よりなる、分子量34000の蛋白質分子ができたかもしれないことになる。もしこれらの異なった分子のそれぞれ一つずつだけがあったとしても、全重量は約10の280乗グラムになる。地球の重さは10の27乗グラムである。こんな中から必要な分子をどうして捜すことができるのか(*12)。

 さらに次のような困難もあります。細胞内で核酸(DNARNA)とタンパク質が合成されますが、それは極めて複雑な過程です。しかも細胞内では、タンパク質は核酸の指令によって形成されながら、一方では核酸はタンパク質(酵素)が存在していないと形成されないという関係にあります。ところが原始の海では、タンパク質は核酸なしで形成されなければならず、また核酸もタンパク質(酵素)なしで形成されなくてはなりません。進化論はこのようなことが偶然によってできたと主張していますが、全くありえないことです(*13)。

 ソ連の生物学者、当然のことながら進化論者のメドニコフ(1932-)も、「細胞内で核酸とタンパク質は……きわめて複雑な過程によって合成される。このような生成物が偶然に生ずる確率は、現実的にはゼロである(*14)」と言い切っています。しかしメドニコフは進化論の立場を貫くために、「もしかしたら生命は、このように段階的に、それぞれの段階がつぎのものの確率を高めながら、発生したのかもしれない。この考え方を基本として受け入れよう――結局のところ、別の解決はないのだから(*15)」と述べています。いかに確率的にありえないことでも、いったん核酸やタンパク質の形成のための一過程ができあがれば、次の過程ができる確率は前よりも高くなるというようにして、確率が段階的に高まったのではないかというのですが、苦しまぎれの言い逃れでしかありません。

 次に、タンパク質や核酸を包みながら細胞(生物)ができるには、さらに大きな飛躍をしなくてはなりません。細胞の中は人間社会では見られないほどの精巧な化学工場になっています。それがどのようにしてできたのかは、全くの謎です。例えば次のような問題があります。

DNARNA、リボゾーム等からなるタンパク質合成のシステムがいかにして発生したか?
②生物のエネルギー源としての光合成のメカニズムや酸素呼吸のメカニズムはいかにして発生したか?
③生物に必要な約2千種の主要な酵素はいかにして発生したか?
④細胞分裂のメカニズムはいかにして発生したか?
⑤有性生殖はいかにして発生したか?

 これらは、どれ一つをとってみても、自然に発生したとは、とても考えられないものばかりです。

 特に、生物において雄と雌による有性生殖がいかにして生じたのか、進化論では有効的な説明はなされていません。繁殖という面からみれば、有性生殖は無性生殖よりはるかに不利であり、効率がよくないのです。ただ、有性生殖の場合、雌雄の遺伝子が混ざることによって、グループ内での多様性が生じるので、環境の変化に適応するのに有利だということがいえるだけです。結局、生物学者からみて、「進化論の中で最も興味深く、困難な問題の一つは、遺伝子の結合と有性生殖の起源とその持続の問題である(*16)」というのです。


*12 D. T. Gish, Speculatins and Experiments Related to Theories on the Origin of Life: a Critique, 1972, p.24.
*13 ヒッチング『キリンの首』7879頁。
*14 メドニコフ著、小林茂樹・山田まり訳『続おもしろい進化論最前線』東京図書株式会社、1982年、41頁。
*15 同書、42頁。
*16 Douglas J. Futuyma, Evolutionary Biology, Sinauer Associates Inc., Massachusetts, 1986, p.279.

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 次回は、「突然変異の性格」をお届けします。


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