シリーズ・「宗教」を読み解く 22
宗教の目指すゴール

ナビゲーター:石丸 志信

 全ての宗教が到達すべきゴールはどこにあるのか。宗教が神に至る道だと言えば、神の下に帰っていくことがそのゴールであると言える。しかし、その前に、神と人とを引き裂いた大きな淵が横たわっている。

 聖書の物語に記されたように、神の言葉を守れず、過ちを犯してしまったこと。人間にとって、根本的な問題のその時点に立ち返って、これを解決しなければ、神と人との切れてしまった関係を回復することはできない。いわゆる「堕落」の問題を解決しなければ真の救いはない、ということである。

 この問題を解決するために、神は、救い主を送ってくださると約束した、というのがユダヤ・キリスト教の理解だ。そのかたは、神のひとり子として来られ、堕落の根本問題を解決して、人類を神の子として生まれ変わらせてくださるというのだ。

 これは、キリスト教の理解だが、他の宗教においてもメシヤ的存在を待望しているものがある。従って、宗教のゴールは「救い主」メシヤと出会うところにあり、それが宗教的「救い」であると言えよう。