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愛と人生の道しるべ 5
愛は信頼と安らぎと平和を感じさせる

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第1弾、『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』は毎週日曜日にお届けしています。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

第1章 愛に似て愛と異なるもの

愛は信頼と安らぎと平和を感じさせる
 それでは愛は一体どこにあるのでしょうか。

 ギリシャ神話の中に、愛の神エロスが出てきます。エロスは雲のような存在で、人の心の中にフッと入り、フッと出ていきます。

 これは実に分かりやすい表現です。多くの人が経験していることと思います。普通の友達だと思っていたのに、ある日突然、異性として意識するようになり、朝から晩までその人のことばかり考えます。草や木や花が突然輝きを増し、心は愛の喜びで一杯になる。ところが半年、一年とたつうちに、いつしかその愛の思いが消え失せ、すべてのものが色あせてしまう……。

 なぜ、そうなってしまうのでしょうか。実は、ギリシャ神話で表現されているように、愛は人の心に自由に出入りできる不思議な存在だからなのです。

 これは恋愛に限りません。人類愛、兄弟愛、親の子に対する愛、師弟愛、夫婦愛など、愛と名付けられるものすべてに共通しています。愛は互いに関わり合う者の間に湧き上がってくる泉のようなものなのです。

 人間自体の中に存在しているものではなく、互いの幸福と向上と発展を願う者同士が寄り沿うとき、その二人の心の中に感じられる温かい大きな力。信頼と安らぎ、平和を感じさせ、生きる力の源ともなるのです。

 映画「スターウォーズ」の中で、「フォース」(理力)という言葉が出てきます。フォースとは、この場合、宇宙に存在する目に見えない根本的パワーと言えるでしょう。精神的な訓練を積むことによって、このフォースを使うことができるようになり、超能力者のようになれる。しかし、フォースには暗黒面の要素もあり、憎しみを持つ者は、暗黒の側に引きずり込まれてしまう。映画では、そのように描かれています。

 このフォースと表現されているものが、まさに「愛」そのものと言えるでしょう。愛は目には見えませんが、宇宙のすべての存在の根源的力として存在しています。

 私たちが他人への思いやりの心、いたわりの心を持とうとすると、愛は私たちを媒体として力強く溢れ出てきます。ちょうど、高圧電流が電線を伝って流れていくのと似ています。

 人生を豊かに送っている人、人の幸せのために生きることを喜びとしている人は、この不思議な愛の力の働き方を知っている人です。自分のことを考えるときにはこの力は働きませんが、人のために自分のことを忘れて尽くすとき、心の奥底に勇気と生きる力と、温かい思いが無限に溢れてくるようになります。

 この不思議な愛に近づき、愛を活用して安らぎと信頼と喜びの人生を送るか、それとも愛のように思える幻影に振り回され、不安と不信と絶望の人生を送るか、その違いを見分けられるように、心を訓練していかなければなりません。(続く)
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 次回は、「第2章 愛は与えて無限に溢れる」の「欲しいと思う人からは逃げていく」をお届けします。


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