43とも倶楽部誕生物語 8
脳を鍛える良い方法の一つは紙で読むこと

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 言語脳科学の専門家である東京大学大学院の酒井邦嘉教授は、スマホやタブレットで読むのと、紙で読むのとでは、脳の働きが明確に違うと言います。

 紙で読む場合、手触り、質感、本文レイアウト、書体などの情報を脳は同時に処理し、文字情報と一緒に記憶に定着させます。
 また、検索機能はとても便利で労力を減らすことができますが、自分の頭で物事を考えなくなります。

 脳に入力される情報量は、映像、音声、文字の順で少なくなります。文字のように情報量が少なくなればなるほど、それを想像力で補おうとして脳は活性化します。
 逆に脳から出力する場合、メール、電話、対面の順番で創造力が要求され、脳は鍛えられます

 脳を鍛える良い方法は、紙で読むことと、人と会って会話を楽しむことです。
 創造力を高めるためには、新聞や本を読んで、それをノートに手書きでまとめることです。

 学校は安易にタブレット教科書を導入すべきではありません。何度も紙の教科書を読み返し、要点をノートに手書きすることによって、脳は鍛えられ、創造力が育まれていくのです。

 加えて、新聞の良い点は一覧性です。
 興味のない分野でも目に入ることで、総合的な知識が身に付きます。デジタルは興味のある分野をAI(人工知能)が選択して優先的に見せるため、どうしても視野が狭くなってしまいます。(続く)