「幸せな結婚」を考える 21

5章 愛の成長(後編)
夫婦の愛(3):夫婦の愛は一対一

ナビゲーター:長岡 高史

 「夫婦の愛は一対一」であり、言い方を変えると「排他的な関係」とも言えます。排他的というと聞こえは悪いですが、周りを寄せ付けない二人だけの世界という点でやはり排他的であり、そうあるべきなのです。

 「子女の愛」「兄弟姉妹の愛」、そして後に説明する「父母の愛」は、成熟するほど広がります。

 例えば、子女の愛の場合、自分の親を心から愛することを通して、目上の人を敬う心も育まれていきます。その思いがどんどん強くなれば、「隣の家のおじさんも、自分のお父さんのように尊敬している」となるのです。それは、愛の広がりであり、心の成長なのです。

 兄弟姉妹の愛も同様です。学校の友達も職場の同僚も、実の兄弟のように慕わしい、と言えるようになれば、どれだけ素晴らしいでしょうか。

 このように、基本的には「愛」というものは、成熟するほどに広がっていくものであり、この広がりの究極のかたちが「人類皆兄弟」という平和のかたちになるのです。

 しかし、夫婦の愛はそうはなりません。成熟すればするほど深まっていくのです。「自分の妻を愛するように、隣の奥さんも同じように愛している」みたいな話は、決してあってはいけないのです。