平和の大道 4
国際ハイウェイの一般的効果

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

 先回は約2000年前のローマ帝国の「ローマ街道」の平和への貢献について述べた。
 今回は、現代世界の代表的な実例として、米国の州間ハイウェイとドイツのアウトバーンを例に挙げて、「高規格ハイウェイ・ネットワーク・システムの一般的効果」を明らかにする。

1)米国の州間高速道路(インターステイト・ハイウェイ)

 米国の高速道路の建設は、100年以上前、1907年に、ニューヨーク州から始まり、1920年まで各州で整備され、第2次世界大戦後1956年、「連邦補助高速道路法」により本格化し、1991年に完了した。現在総延長68500km、片側2車線、中央にグリーンベルトがあり、フリーウェイともいわれ、通行料は無料である。

 驚くべきことは、米国は20世紀初頭からすでに高速道路の建設を始めていたということだ。日本で最初の高速道路である名神高速道路が完成したのが1963年である。このハイウェイは50州間の一体的発展・格差是正、国家としての一体化に貢献している。米国が50州からなる多民族・多文化社会であるにもかかわらず、統一的な国家として世界一の繁栄と平和を謳歌している背景のひとつに、この州間ハイウェイの果たす効果がある。

2)ドイツのアウトバーン

 アウトとはオート、すなわち自動車を表し、バーンとは道路を表すので、アウトバーンとは自動車専用国道のことである。その建設は第1次世界大戦前の1913年から始まったが、本格化したのが1933年からであった。

 ドイツ帝国の首相となったナチス党のアドルフ・ヒトラーが、「休日には低所得者層が自動車に乗ってピクニックに出られる暮らしが必要である」と唱え、国際自動車オートバイショーの会場でモータリゼーションと自動車道路網の構築を約束し、約7000kmに及ぶ「帝国アウトバーン」の計画を発表して本格化した。第2次世界大戦までに3860kmを建設し、現在総延長距離約13000km、通行料無料、約半分の区間で速度無制限である。

 アウトバーンは世界最初の本格的な高速道路ネットワークであった。単純な高規格の直線道路を建設するのではなく、緩やかなカーブライン設定や、近代的だが風致に合った橋梁・高架橋デザインを取り入れ、既存の自然景観と調和する道路建設を目指した。マクロな見地から高速道路を設計するそのコンセプトは、戦後もアウトバーンのみならず世界各国の多くの高速道路に取り入れられている。

 さらには長距離走を考慮して、トイレ等を備えるパーキングエリアも随所に設置されていた。これらの基本構想は、ドイツを後年、世界屈指の自動車大国に成長させていく過程で大きな礎となった。

 大戦中は軍用として使用され、滑走路にもなった。連合国の激しい爆撃によりアウトバーンは多くの部分が破壊されたが、大戦後、西ドイツ地域の区間は早急に修復が行われた。空爆により損傷したが、舗装が厚かったため(コンクリートの厚さ約1m)決定的なダメージがなく、容易に補修ができたからである。

 戦後、ドイツが短期間で奇跡的に復興できた背景に、経済の大動脈として機能することができたアウトバーンの再建があったということは特筆すべきである。ヒトラーには多くの問題があるが、その遺産として誇れるものはアウトバーンであるということには異論がなかろう。

 ここで言いたいことは、アウトバーンのような高規格の高速道路のネットワークシステムが存在するところには、ローマ帝国の「ローマ街道網」で実証されたように、経済復興・発展がなされるということである。

3)国際ハイウェイの効果

 古代ローマ帝国、現代の米国とドイツを例に挙げて高規格道路の効果を検証してきた。それらの歴史的実例を踏まえて、超高規格道路としての国際ハイウェイの効果をまとめてみた。

①「広域経済圏」の構築
 高速道路ネットワークができれば、経済はその域内で均一的に発展し、「広域経済圏」が形成される。自由通行保証の国際ハイウェイは、国境を越えた「広域経済圏」を形成し、その域内では平和でないと機能しないため、必然的に平和を強く求めるようになり、平和な環境が出来上がる。

②「文化圏」の形成
 国際ハイウェイにより人、物、情報の交流が密になると文化の発展がなされる。その基盤の上に国家を超えての「文明圏」の形成も可能である。国際ハイウェイにより世界中の諸地域が自由に交流するようになると、新しい文化、新しい文明も生まれるようになる。同一文化圏、文明圏内では必然的に戦争もなくなり、平和が生まれる。

③国境の壁の解消
 国際ハイウェイ両側数キロメートルが国境のない自由地域になると、国境が意味を持たなくなってくる。国境の存在自体が潜在的に戦争の主要原因であるので、国境がなくなれば、戦争原因の大半がなくなり、世界中の国々が米国の州のようになっていく。国境の壁解消効果は国際ハイウェイに勝るものはない。

④戦争をなくし平和の実現
 高規格の国際的なハイウェイのネットワークが構築されれば、戦争につながる現実の諸問題の大半が解消されるため、結果的に平和の実現へ向かうようになる。

(『友情新聞』201191日号より)

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 次回は、「『平和』を哲学的に考察」をお届けします。


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