愛の知恵袋 18
自分磨きは結婚で

(APTF『真の家庭』128号[6月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

“アラフォー”のため息
 先日、仕事の関係で二人の女性に出会いました。スタイルも顔も整い、礼儀正しく頭も良い立派な女性でした。ところが二人ともまだ独身だというのです。年令を聞くと30代半ばと、40歳前でした。これだけ容貌も学歴も才能も豊かな女性を世の男達が放っておくはずがない。きっと本人がキャリア指向で結婚には全く関心もなかったのだろうと思って聞いてみると、「そんなことはありません。結婚したいと思っています。いい人がいたら紹介して下さい」と言うのです。

 いま、日本の都会には、30歳〜40歳前後の未婚女性がたくさんいます。一方、地方では40歳を過ぎた未婚男性があふれています。

 最近、“アラフォー”という言葉をよく耳にします。“アラウンドフォーティー”の略で、40歳前後の人達のことです。2005年の統計でも、30歳〜34歳の年齢の女性で32%、男性では47.1%が一度も結婚していません。「晩婚」ならまだ良いのですが、その後、彼らがみんな結婚にたどり着いているわけではないのです。統計上の生涯未婚者(50歳になっても一度も結婚していない人)が、女性で6.8%、男性では15.4%もいて、年々増加しています。

待っても現れない王子様
 原因の一つとして、女性のキャリア指向で仕事に価値を置き、家庭に入って無償奉仕の主婦になることをきらう「嫌婚」の風潮が指摘されました。しかし、実情は必ずしもそうではないというのです。『婚活時代』の著者、山田昌弘・白河桃子両氏によれば、彼女たちの多くは「結婚しない人たち」ではなく、「結婚できない人たち」なのだといいます。

 自分磨き指向が高まって以来、女性も高学歴とキャリアを身につけることに専念し、気が付いたら“アラサー”。「待っていても王子様は来ないんだ」という危機感を感じて、やっと腰を上げて相手探しですが、どうしても「自分以上の学歴と収入、そして素敵な男性」という条件がつく。しかし、そのような「魅力的男性」はもともとごく一部しか存在しないし、いたとしても彼女達が自分磨きに長い時間を費やしている間に、目先の利く若くて可愛い女性たちによってとっくに狩り尽くされているというのです。

 残る最後のチャンスが“アラフォー”年代です。その時点で、もうなりふり構わず条件など忘れて「とにかく男を!」とつかまえた人は何とか結婚にゴールイン。その期に及んでもまだ「いつか私にピッタリの王子様が…」という思いにとらわれていると、やがて“生涯未婚者”の列に加わっていくようです。

“待ちの王子様”と“婚活時代”
 一方の男性たちは、女性よりもっと未婚率が高いわけですから、命がけで相手探しをしなければならないのですが、低収入という経済格差問題の壁の他に、多くの男性が「待ちの王子様化」しているというのです。いわゆる“草食系の男子”の増加や、生身の異性とコミュニケーションができずパソコンや雑誌の中の二次元女性に逃げ込むオタク系男子が増え、さらに、恋人や女友だちに不自由しない男性でも、なぜか結婚の決断を自分から切り出さない。その根底には、一昔前と違って結婚しなくても一緒に住めるし、いつでも性欲を満たせるし、あえて自分からプロポーズしてリスクを背負いたくない…という心理があるといいます。今や、男性だけでなく女性も、勇んで“婚活”に参戦し、出会いから結婚の決断まで、女性のほうから声をかけないと何も進まないのです。

 だから白河さんは女性たちを鼓舞します。“今こそ女達は、狩りに出よ!”