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心情開拓
心霊を育てる生活原則(64)

 原理を生活化するために、李耀翰(イ・ヨハン)先生(1916~2019)が信仰のイロハを日本人の心情を分析しながら説かれた講話集、「心情開拓~心霊を育てる生活原則」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 家庭連合の教会員の皆さまはもちろん、世代を超えて多くのかたに読んでいただきたい書籍です。

李耀翰・著

(光言社・刊『心情開拓~心霊を育てる生活原則』より)

4 復帰歴史に見る生活原理
(1970年1121日)

▲李耀翰先生

【アブラハムの家庭】
内的基準と眠り

 聖書の中でしばしば、貴重な時に眠ったとあります。ゲッセマネの園で、イエス様と三弟子が祈ったのですが、三弟子は眠ったとあります。

 相当貴重な時間に眠ることがありますが、サタンは、なるべく貴重な時間は眠らせる方法をとるのです。なぜかというと、信仰によって出発したし、み言(ことば)を通じて本性があるから神に向かっていくけれども、しかし堕落性を中心としてサタンも離れないのです。初めて教会に来た人たちの中で、じっと眠らず原理講義を聞く人たちでも、「原理講義が終わると頭がはっきりするけれども、講義を聞こうとすると、ポカーとして、とても眠りがくる」と言います。

 この修練会に来た人で、霊的に低い人たちは、原理講義が始まると、静かになってしまうのです。原理講義が済んで、世間話をすると、目がきょろきょろして光るのです。これは生理的なことではないのです。

 アブラハムも、暗くなってもしっかりしていたなら、何か悟ったはずです。「どうして延期になるのだろう」と、見ると、「あっ、はとを裂いていない!」と、こう悟りやすかったかもしれません。しかし、「祭物はささげて済んだから、神様は祝福してくれるのではないかな」と、安心してしまったのです。祭物を洗って毛を取る時には一生懸命やったけれども、それが済んだあとには、もう安心してしまったのです。

 韓国に来るまでは張りきって、一生懸命に来たけれど、到着すると、「ここか、分かった分かった」と言う人がいるのです。結局、到着してからの誠意が、到着するまでの誠意より低くなった場合は、必ず問題になるのです。到着してからが大事なのに、到着すると安心してしまうのです。「もう到着した。もう来たかった所に来たんだ。もう来たんだ!」と思っているのです。みんなそうです。これからなのに。

 アブラハムが眠ったというのも、内的基準が、自分の妻を失った時の基準より低かったから眠ったのです。なぜなら、以前に自分が立てた基準があるのです。その基準より低くなった時は、絶対に神の摂理はできません。それ以上でないとできないのです。結局、自分が立てた基準が、自分を審判するのです。

 アブラハムも、妻のサラを奪われた時、相当緊張して、その晩は眠らずに祈ったかもしれません。神様に祭物をささげた時は、眠ってしまった、これではもう話になりません。妻以上の貴重な目的をもって祭物をささげる時なのに……。

 私はある時、新約教会の執事が、自分の一人っ子を失って悲しんでいるのを見ました。その人は、とても悲しんで、その悲しみをなくすために、「原理」を聞いてみようと、その目的で統一教会に来たのです。

 それで、私は一言、「イエス様はあなたのために、十字架につけられたのを信じますか」と尋ねてみました。すると、「それは今まで私が何十年も信じてきたことで、今さら聞く必要はないじゃないですか」と言うのです。「それでは、あなたの息子が死んだ時の悲しみと、イエス様が死んだ時の悲しみ、どちらを悲しんだのですか。あなたの息子が死んだより以上に、イエス様が十字架でなくなられたのを悲しんだことがあるのですか」と聞くと、黙っているのです。

 「どちらが貴重ですか、あなたの息子とイエス様と。神様から見て、また私たち信仰する者から見ても、どちらが貴重であり、どちらを愛すべきであり、どちらを悲しむべきなのですか」と聞くと、黙っているのです。

 「あなたが自分の息子を失って悲しむのは、神様に、イエス様に許されない。結局、今までの信仰は、イエス様を信仰したのでなく、イエス様を通じて、あなたが利用しようとしてキリスト教信者になったのではないか。神を利用しようとしているなんて、そんなどろぼうの腹で、十字架についたイエス様を信じたというのは、うそじゃないですか」と言うと、すぐ自分の子に対する悲しみがなくなってしまったのです。すぐ悟ったのです。

 悔い改めて、そして「ああ、それを知らなかった」と言ったのです。知らなかったはずはないのです。知っているのです。

 堕落性は、自分の愛情のかかったものと、祭物をささげるのと、自分の妻をささげるのと、どちらが緊張するかということで分かります。

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 次回は、「妻を奪われた理由」をお届けします。


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