コラム・週刊Blessed Life 228
中国激怒!ペロシ米国下院議長が台湾訪問

新海 一朗

 米国のナンシー・ペロシ下院議長は、731日から開始したアジア歴訪の行程に台湾を加え、82日午後1044分ごろ、台湾の松山空港に到着しました。

 ペロシ議長が率いる議員団には、グレゴリー・ミークス下院外交委員会委員長やマーク・タカノ下院退役軍人委員会委員長らの姿がありましたが、現職の下院議長が訪台するのは、19974月のニュート・ギングリッジ議長以来25年ぶりとなる歴史的な訪台でした。

 台湾外交部は、ペロシ下院議長一行の82日~3日の訪台について、成果は豊富であり、台湾に対する米国の強固な支持が重ねて表明されたと総括する声明を発表しました。

 3日午前に行われた蔡英文総統とペロシ下院議長一行との会見には、台湾側から頼清徳副総統、顧立雄国家安全会議秘書長、呉釗燮外交部長などが同席しました。

 蔡英文総統は、ロシアのウクライナ侵攻後、台湾海峡の安全は世界中から注目を集めているとし、台湾が侵略されればアジア太平洋地域全域が多大な影響を受けると述べ、台湾の基本的態度として、以下の3点を表明しました。

①高まる軍事的脅威に対し、台湾は委縮することなく、民主主義の防衛線を堅持する。

②台湾は最大の努力を払って自己防衛力を高め、台湾海峡の平和と安定の維持に力を尽くし、世界貿易とサプライチェーンの安定的な発展を目指す。

③台湾は米国にとって頼れる、かつ信頼できるパートナーであり、アジア太平洋地域の安全と経済発展、人材育成、サプライチェーンにおける協力などを強化し、台湾と米国の関係を一層深化させる。

 これに対してペロシ下院議長は、米国は台湾と共にあり、台湾は米国の議会から超党派の支持を得ていると強調しました。

 このような米台の連帯強化の動きに対して、中国の王毅国務委員兼外交部長は、「『一つの中国』の原則に背き、悪意を持って中国の主権を侵犯するものだ。公然と政治的な挑発を行い、中国人民の強い怒りを呼び起こし、国際社会の幅広い反対を引き起こした」と述べ、「米国は台湾海峡の平和と地域の安定にとって『最大の破壊者』だ」と激しく非難しました。

 ペロシ議長一行が訪台を強行したことでメンツを失った習近平総書記は、逆上リベンジとも言うべき、台湾を囲む空・海の六つのエリアを設定してミサイル発射などの軍事演習を実施し、台湾への威嚇を見せつけました。

 しかし、ペロシ議長が台湾を去った後の4日から7日を実施日に選んだことで、中国の威信は地に落ち、無残な「外交的大失態」をさらけ出したと、評論家の石平氏らの論評は、厳しいものがあります。
 虚勢を張ったものの、自ら墓穴を掘ったということでしょう。

 中国は言葉の威嚇と罵倒は強く、激しいものがありますが、米国と全面衝突あるいは正面衝突する事態は、今のところ、絶対に避けるという「狡猾(こうかつ)な臆病さ」を隠しきれていません。

 米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」がフィリピン海に控え、強襲揚陸艦「トリポリ」などが台湾海域に展開しているのを見て、中国軍は震え上がっているのでしょう。