アングル~情報戦に勝て。1
安倍殺害事件で非難されるべきは反カルト集団だ、統一教会ではない

(ワシントン・タイムズ・ジャパン 8月2日 国際面より)

 78日の安倍元首相銃撃事件に端を発した、異様とも言うべきマスコミによる家庭連合たたきを世界はどう見ているのか。

 ワシントン・タイムズ紙は、日本ではあまり知られていないが、米国の保守系有力日刊紙である。かつては、レーガン米大統領が朝起きて最初に読む新聞として知られた。

 今回紹介するのは、そのワシントン・タイムズ系列の「ワシントン・タイムズ・ジャパン」の国際面に掲載された8月2日のウェブサイト記事である。

 記事の寄稿者は、イタリアの宗教社会学者、マッシモ・イントロヴィニエ氏。同氏は、新宗教研究センター(CESNUR)の創設者の一人で、現在も同センターの常務を務めている人物。

 家庭連合に対する連日のテレビ報道(その大半はワイドショーだが…)で違和感を持つのは、専門家によるコメントの少なさだ。
 宗教問題ならば宗教の専門家、政治問題ならば政治の専門家、法律問題ならば法律の専門家からしかるべき見識とエビデンス(根拠)に基づく責任あるコメントを扱うべきだ。

 報道機関たるもの、主観と客観を区別し、批評と事実を明確に分けて伝えるべきであろう。
 反対の立場(あるいは敵対する立場)の者だけを席に着かせ、恣意的に番組を構成し進行させるのはいかがなものか。

 今回取り上げたワシントン・タイムズ・ジャパンの記事は、宗教社会学者によるもの。
 日本での社会現象を外からの視点で分析している点も参考になろう。

 今すぐ、知ってほしい情報だ。
 オリジナル記事のリンクを掲載するので、全文を精読していただきたい。

(則)

■安倍殺害事件で非難されるべきは反カルト集団だ、統一教会ではない

 1901年、一人の無政府主義者がアメリカ合衆国大統領ウィリアム・マッキンリーを暗殺した。この犯行の副産物として、その後の数十年間、無政府主義の団体が犯罪視され、その中には暴力反対のグループもあった。1927年になっても、無政府主義者のサッコとヴァンゼッティは犯してもいない罪を着せられ処刑された。この事件については、1971年にジョーン・バエズの唄“Here’s to You”(邦題「勝利の讃歌」)のおかげで、私の同世代は記憶しているだろう。

 一人の無政府主義者が政治家を殺害したので、すべての無政府主義者が取り締まられるというのは、不当なことだが、あり得ないことではない。だが、こんなシナリオはどうだろうか。「無政府主義の敵」を自任する右翼過激派の一人が大統領殺害の容疑者になり、大統領は「無政府状態に甘すぎる」ようなので断罪されるべきだ、と主張した。それを聴いた分別ある米国市民は、無政府主義者を非難するのは理に合わない、と考えるはずだ。責めを負うべきは、最も過激な犯罪者だからだ。

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