夫婦愛を育む 17
夫は既にあちらの世界にいますが…

ナビゲーター:橘 幸世

 教会などでお話をさせていただくと、聞いてくださっている女性の中には、私より人生の先輩がたも少なくありません。

 講座後に皆さまの感想文を読ませていただけば、「夫は~年前に他界しました。もっと早く聞きたかったです」という文にほぼ毎回出合います。「娘や嫁にも学んでほしいです」「息子との接し方に応用してみます」と前向きに結ばれるかたもおられる一方、悔いをつづられるかたもいらっしゃいます。

 幸福の原則の実践は夫が生きていればこそ、ですが、既にあちらの世界にいらっしゃる場合、何ができるでしょうか。

 そんな質問に対して、同様の立場にない私に、どんな返答ができるでしょう? あえてお答えさせていただくとすれば、こんなふうになるかと思います。

 まず、過去の事で自分を責めるのはやめましょう。夫が生きている時こうすれば良かった、ああするんじゃなかった、と反省することは大切ですが、責め過ぎてはいけません。当時は、こうすればいい、と知らなかったのですから。そして、その時はその時で自分なりに精いっぱい頑張ってきたのですから。

 次に、夫の生前、気付かなかった(見えていなかった)彼の良い点に改めて思いを巡らせてみるのも良いでしょう。男性に対する理解が深まった分、その作業は以前ほど難しくないと思います。
 そして、もし恨みなど夫に対して負の感情が残っているとすれば、それを整理していく作業が一番大切だと思います。妻自身の心の平安のためにも、そして子供たちのためにも。さらに、やがてあちらの世界で再会した時、互いが心から再会を喜ぶためにも。
 その時のための練習と思って、息子さんがおられれば、学ばれたことを息子さんに対して実践してみるのも良いのではないでしょうか。