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中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
  第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

第9回「同性愛」について考える(前編)

(中和新聞 2021年9月14日 通巻1393号より)

 このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は、「同性愛」について考えます。

 2021317日、同性婚をめぐる札幌地裁の判決が注目を集めました。判決文には「同性愛は精神疾患ではなく、自らの意思に基づいて選択・変更できないことは、現在は確立した知見になっている」と明示されました。

 果たして、同性愛は「自らの意思に基づいて選択・変更できない」もので、それが「現在は確立した知見」なのでしょうか。

 同性愛という性的指向が、「自らの意思に基づいて選択・変更できない」ということであれば、「同性愛は先天的に決定される」と言い換えることができます。同性愛が先天的なものであれば、人種や民族のように「変更できない」と言えるでしょう。

 結論から言えば、同性愛は遺伝でも先天的なものでもありません。よって、「自らの意思に基づいて選択・変更できない」と言い切ることもできないはずです。

■「同性愛遺伝子」など存在しない
 20198月、世界的に権威のある科学雑誌「サイエンス」が、米国と英国などの研究者による調査結果を掲載しました。

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 米国マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学、英国ケンブリッジ大学などの国際共同研究チームは、米国と英国で同性間の性的関係を結んだことがあると回答した男女約47万人の遺伝形質を調査した結果、同性愛に関係する特異遺伝子は発見されなかったことを明らかにしました。

 同性愛と関連があると思われる5つの塩基のバリエーションは発見されたものの、同性愛に影響を与える確率は「1%未満」だということも分かったのです。

 つまり、同性愛を誘発する「同性愛(ゲイ)遺伝子」など存在せず、同性愛は遺伝しないことが改めて明らかとなったのです。

■ホルモンの影響は?
 ほかにも「同性愛は胎児期のホルモンによる影響ではないか」との意見もあります。しかし一般的に、成人の男性同性愛者と異性愛者の性ホルモンの数値には差がなく、性ホルモンは性欲の増減に作用する一方、性的指向には影響を与えないとされています。

 内分泌代謝科専門医ルイ・グーレンは、「ホルモン異常を持った多くの患者に会ったが、それが彼らの性的指向に影響を与えたという事例は発見されなかった」と述べています。また、胎児期のテストステロン(男性ホルモン)の数値と同性愛性向の相関関係を立証する直接的な調査結果も存在していません。

 以上のことから、胎児期のホルモンは同性愛形成に大きな影響を及ぼさないと言えるでしょう。では、何が同性愛を生じさせるのでしょうか。

■家庭環境が大きな要因になりうる
 1990年、精神科医ジェフリー・サティノーヴァは、1000人のゲイを対象に行った調査で、「37%」が19歳になるまでに年上か、より力のある相手に性的に襲われた体験を持っていたことを明らかにしています。

 心理学者リチャード・コーエンは、著書『ストレート(異性愛)へのカミングアウト―同性愛の理解と治療』(2000年)の中で、「男の子が父親との精神的な絆を持てなかったときに同性愛になる」と指摘。「大人になったゲイは、男性とセックスすることにより、思春期に得られなかった父親からの愛情の埋め合わせをしているのだ」と述べています。

 精神分析家チャールズ・ソカリデス博士も著書『アメリカはいかにしてゲイの国になったか』で、「同性愛に陥る男性のほとんどは、潜在意識レベルで、ごく幼い頃の間違った子育て―母親が管理し過ぎて父親が放任していたこと―への反動で行動している」と指摘しています。

 一方、“元レズビアン(女性同性愛者)”の著述家アン・ポールクは、自分と同じ元レズビアンの女性265人を調査しました。そして、「同性に惹かれるのは、性的欲求そのものが原因であるケースはむしろまれ」で、「愛されたい、誰かを信頼したいという無意識の欲求の表れである。女性らしさを取り戻したいという願望が間違った形で表れているケースも多い」と指摘。

 さらに「レズビアンになる典型的なパターン」は、「母親が支配的で口やかましく愛情に乏しいか、弱い人間だったケース。父親が愛情に乏しく批判的だったか、虐待していたケース。あるいはその両方のケース」だとしています。また「驚くことに、90%が何らかの虐待体験を持っている。性的なものが60%以上だが、心理的なものも70%に上り、半数以上が言葉による虐待を受けている」とも言っています。

 これらの調査から、同性愛者の多くが幼年期から青年期に性的虐待を受けているか、問題を抱えた家庭や機能不全に陥った家庭に育っていることが推測されます。

 米国心理学会(APA)のセクシュアリティー研究部門のトップで自身もレズビアンのリサ・ダイアモンドは、近年のAPAハンドブックに、性的指向は「流動的だ」と提示。性的指向が不変という「誤った論理」を「LGBTの性的指向の弁明に使用することは不利だ」と主張するなど、彼女も性的指向が先天的ではないことを認めているのです。

 次回も引き続き、同性愛を生じさせる要因について、さらに掘り下げて確認します。

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 次回は、「『同性愛』について〈後〉」をお届けします。

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