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中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
  第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

1回「新型コロナ」による家庭崩壊の危機

(中和新聞 2020年5月22日 通巻1262号より)

 本シリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす影響と問題点について考えます。(編集部)

■外出制限の「危機」と「機会」
 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、特に西側先進諸国を中心に戦後最大の危機をもたらしています。人類歴史を見ても、感染症の爆発的流行は文明史的な転換点となってきました。

 今回の新型コロナの問題も、経済や国際情勢のみならず、私たちの価値観やライフスタイルを一変させる転機になるかもしれません。

 AFP通信によると4月初旬、外出制限されている人の数が90か国39億人、世界人口の約半分に達しました。それだけの人々が、買い物など必要最低限の場合を除き、家から外出できなくなりました。日本でも法的強制力は伴わないものの、「人との接触を8割減らす」との目標が示され、多くの国民が外出自粛を守ることになりました。

 こうした状況は、私たちの家庭に「危機」と「機会」の両方をもたらしました。前向きに捉えれば、自粛により家族で共に過ごす時間が増えることは、お互いの絆を深める絶好の機会となります。在宅ワークなど働き方改革が進めば、父親の家事・育児参加を促すきっかけにもなるでしょう。

 一方で、新型コロナが家庭の危機をもたらしている側面も無視できません。「コロナ離婚」という言葉に象徴されるように、経済的困難や外出制限で、関係が悪化する夫婦、親子も少なくないのです。

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■新型コロナで壊れる家族関係
 日本以上に厳しいロックダウン(都市封鎖)が敷かれた国々では、DV(家庭内暴力)の増加が報告されています。

 中国の武漢では都市封鎖が実施された2月、DV通報件数が前年比で約3倍に増加。フランスでも317日の外出禁止令以降、DV30%以上増加しました。

 米国でも各都市でDVが急増。ニューヨーク州ではDVホットラインへの相談件数が前年同期比で30%増加し、オレゴン州ポートランドでも3月中旬のDV逮捕者が同じく27%増加しました。

 日本も例外ではないでしょう。感染への恐怖や経済的な不安、さまざまなストレスが複合してDVに至る危険性は高まっているとみられます。

 こうした事態を受けて45日、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「全ての政府は、パンデミックへの対処と同様に女性の安全を最優先してほしい」と要請しました。

 当然のことながら、夫婦関係の悪化は子供たちにも悪影響を与えます。夫婦間のDVを見せること自体が「心理的虐待」ですが、家庭の密室化が進むことで身体的な虐待や性虐待なども深刻化することが懸念されます。

 虐待に至らずとも、子供たちが家族から大きなストレスを受けていることが調査で明らかになりました。

 NPO法人ウィーズの調査では、子供たちが「休校で困っていること」の1位は「家族で一緒にいる時間が増えてイヤ」(38%)、2位が「家庭環境が悪くなった」(15%)。2つ合わせると実に半数以上が家族との関係でストレス、悩みを抱えていることが分かりました。

 一方で、育児疲れや閉塞感を訴える親からの相談も増加。虐待防止に取り組む名古屋のNPO法人では、3月に一斉休校が始まったあと、メールでの相談件数が約2倍に増えました。

■コロナ危機を家庭再生に向かう転機に
 ただ、こうした家族の危機は、新型コロナによって表面化する前から既にリスクとして存在していました。

 DV増加などが指摘される欧米先進諸国では、平時から離婚率が高く、DVや児童虐待も深刻でした。既に弱体化していた家族に新型コロナが直撃したことで、その脆弱性があらわになったと言えるでしょう。

 家庭の脆弱性については、福祉サービスとの関わりでも深刻な状況が生まれています。日本ではこれまで三世代同居が減り、未婚者やひとり親家庭も増える中で、介護、育児といった機能を外部に移行する動きが進んできました。

 しかし、新型コロナの直撃を受けて、デイケアなど介護サービスの休止が相次ぎ、自治体によっては保育所や学童も閉鎖されました。これまで福祉サービスに依存してきた家庭には、そのような機能を引き受ける余力がありません。

 約600万人にのぼる高齢単身者の「見守り」も大きな課題です。新型コロナでは軽症者が短期間で重症化するケースが多く、同居家族がいなければ急変に気づくことができません。高齢者でなくても、単身赴任の男性が電話で妻に不調を訴えたあとに容態が急変し、翌朝、遺体となって発見されたケースもあります。

 また日本においては、大型化する台風や、南海トラフ、首都圏直下といった大地震による壊滅的被害も想定されます。そのような状況下では、福祉サービスの安定的供給は難しく、それこそ家族が最終的な単位として支え合い、危機を乗り越えなければなりません。

 これを機に、私たちは改めて家族の大切さに目を向け、弱体化した家族や地域共同体の絆を再生するために立ち上がるべきでしょう。

 これまで欧米諸国も日本も、「多様な家族」の美名の下、家庭が崩壊する現実を放置してきました。そして、危機の時代にあって「本来は最も安全であるべき」(グテーレス事務総長)家庭が、ストレスと暴力の温床になっているのです。

 その結果、最も犠牲になるのが女性や子供、高齢者といった弱者であることを忘れてはなりません。

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 次回は、「人口減少による国力低下対策に『待ったなし』」をお届けします。

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