コラム・週刊Blessed Life 204
政治利用される北京冬季オリンピック

新海 一朗

 2022年24日、北京冬季オリンピックが開幕しました。
 スノーボード男子ハーフパイプで見せた平野歩夢選手の驚異的な演技は、人類史上、かつてない超難度の連続技であり、日本はもちろんのこと、世界でも大絶賛の渦が巻き起こりました。文句なしの金メダルでした。

 オリンピックの各種目は人々を楽しませ、興奮させてくれるものであり、平和の祭典と呼べるものですが、どうも北京冬季オリンピックに付きまとう政治の影は、オリンピックの楽しさを半減させているような印象を免れることができません。

 端的に言ってしまえば、習近平個人の権威を高めるためのオリンピック、中国の権威を世界に誇示するオリンピックという色が出過ぎているためか、いろいろと現地ではトラブルが発生しており、ぎくしゃくとした運営が見え隠れしていて、あまり気持ちのいいものでないことは確かです。
 高梨沙羅選手の失格問題なども、一体、どうなっているのだという思いで見るしかなく、すっきりしません。

 自身の権威と中国の権威を見せつけるという習近平の思惑とは反対に、北京冬季オリンピックに対するさまざまな批判が巻き起こっているのが現実です。
 思惑は外れ、習近平の権威を引き下げ、中国の権威も傷がつく始末です。政治利用している分、批判の声が多く出て、オリンピックの評判を下げる結果を招いているのです。

 コロナ禍の中での開催ということもあり、中国の「ゼロコロナ」政策は良かれと考えて実施されているものでしょうが、中国の人々やオリンピックの選手団に与える影響は真逆であり、やり過ぎだとの抗議の声が絶えません。

 開会式には27カ国の首脳と国連事務総長およびWHO(世界保健機構)事務局長が参加しました。その最も重要な賓客がプーチン大統領の参加であったことは否定できないでしょう。しかしプーチンは26時間の滞在の後、さっさと帰国しました。

 プーチンの開会式参加の目的には、自国の天然ガス、石油、石炭を中国に売り込むという思惑があったのです。だからプーチンは、そのことに合意した習近平の姿を確認した後には、そそくさと北京を離れたのです。

 リチウム資源が豊富なアルゼンチンの大統領の参加は、電気自動車の開発とそれに必要なリチウム電池の資源を狙う中国の意図を見透かしたものであり、カザフスタンの大統領は豊富なウラン資源を欲しがる中国との取引を促進する目的以外はなく、他の首脳たちも似たり寄ったりの経済的動機で開会式参加を決めています。

 27カ国というのは、あまりにも少な過ぎます。政治目的で北京冬季オリンピックに取り組んできたにしては、精彩に欠けています。

 習近平の焦りは、毛沢東と同じような個人崇拝の終身独裁を確立することに向けられていますが、その焦りが全てを狂わせているのです。全てが裏目に出るのです。

 外交的ボイコットを決めた国々(ウイグルの人権弾圧を糾弾する国々)を見返すように、聖火の最終ランナーにウイグル族を用いるなど、完全に政治目的で動いている中国の共産党政権のやり方は、やればやるほど逆効果になってしまっています。

 習近平のためのオリンピックではありません。世界の人々のためのスポーツによる平和の祭典がオリンピックです。ベクトルが反対に向いています。習近平は世界のことなど微塵(みじん)も考えていません。