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コラム・週刊Blessed Life 187
真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞、心からおめでとうございます!

新海 一朗

 2021年10月5日、ノーベル物理学賞の発表が行われ、その中に真鍋淑郎氏の名前があり、日本中が湧きたちました。

 まずは、真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞、心からおめでとうございます!

 1975年に米国の市民権を取得した真鍋氏(1931年~、90歳)は米国籍ですが、その研究成果は米国に限定されて生み出されたものではなく、多くは日米にまたがって成果を上げてきた研究の背景から、米国籍の日本人研究者の受賞と言ってよいでしょう。

 真鍋氏は現在、プリンストン大学の上席研究員であり、また、文科省所管の国立研究開発法人海洋研究開発機構フェロー、米国科学アカデミー会員です。

 受賞理由について、選考委員会は「現代の気候研究の基礎となった」としていますが、地球の気候は人類にとって極めて重要な複雑系のシステムであり、その中から真鍋氏は、大気中の二酸化炭素の濃度の上昇が地表の温度上昇につながることを明らかにしました。

 氏は、1960年代、地球の気候に関するモデルの開発をリードしました。
 地表面が太陽から受け取るエネルギーから宇宙に逃げていくエネルギーを差し引いた「放射収支」と、空気の縦の動きがどう影響し合うかを世界で初めて解明したとし、真鍋氏の研究は現在の気候モデル開発の基礎となったと評価されています。

 これまでノーベル物理学賞と言えば、天文学、宇宙物理学、素粒子物理などの分野が全てと言ってよく、気象や気候に関する分野にはいませんでした。
 今回、気象・気候の分野でノーベル賞が出たということは、それだけ地球温暖化がもたらす地球上の異変と災害が現実のものとなり、深刻になっているという人類の危機意識の共有が進んでいるからであると言えます。

 気象関係者の中から喜びの声も多く上がっており、真鍋氏の貢献は、誰もやったことのない「大気のモデル」と「海洋のモデル」を統合したシミュレーションをつくり、研究を進めたことが大きかったと称賛されています。

 すなわち真鍋氏が開発したモデルは、温暖化の研究だけではなく、気象予報のモデルにも応用され、私たちの生活、人類の日常生活に密接に関わっているということです。

 1960年代当時、二酸化炭素が気候に与える影響などというテーマは注目されていなかった研究分野で、人々の関心はまだまだ低かったという状態でした。

 しかし真鍋氏は、二酸化炭素による気候変動の原因を解明するために、根気よくコンピューターによる数値化を行いました。
 さまざまなシミュレーション(模擬試験、模擬実験)を行い、温暖化がもたらす地球変動、自然破壊の未来予測を的確に警告したことは、今になってみれば、驚くべき研究に取り組んだものであると感嘆せざるを得ません。

 気候変動が人類および地球に与える影響を考えると、死活的に重要な問題であり、それ故今回の真鍋氏の受賞は時宜にかなった喜ばしい受賞なのです。

 心より祝賀申し上げます!