シリーズ・「宗教」を読み解く 11
大海に流れ込む川のごとく

ナビゲーター:石丸 志信

 宗教は、根源的な存在である神を見失った人間が神に帰っていく道であると言うことができる。宗教は、神とは何かを教え、神の理想を教え、本来の神と人間の関係を教える。神の側から見れば、人生の行くべき道を見失った人間を救済し、本来の位置に戻すために宗教を立てた。だから、あらゆる人間にも救済の手を伸ばすことのできるよう、おのおのの民族に合ったあらゆる次元の宗教が存在してきた。
 それぞれ独自の歴史と環境、文化背景と風習、習慣の異なる宗教伝統が形成されてきた。しかし、歴史の趨勢を見ると、それらは互いに影響しながら、より普遍的な宗教へと統合され、大きな宗教文化圏を形成してきた。

写真はイメージです

 例えて言えば、川の上流には数多くの支流があるが、それが流れ下れば合流して大きな一つの流れとなり、やがて大海に入っていくようなものだ。
 そのように、神が、おのおのの宗教が互いの共通性と同じ目的性を見いだし協力することで大きな大河のうねりをつくり出そうとしてきたように見える。