コラム・週刊Blessed Life 173
中国共産党の実態、その失態の側面とは

新海 一朗(コラムニスト)

 中国は共産党の支配体制を維持していますが、その本質は何でしょうか。
 言うまでもなく、現在の体制は習近平主席による共産党の一党独裁です。習近平が率いる現在の体制が目指すものとは何かを考察すれば、一つは、習近平政権が事実上の終身独裁を掲げ、そのように憲法を改正したことです。

 2019年の四中全会(中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議)の際、「国家ガバナンス体系」をテーマにした議論の中で、国家主席の任期の規定を撤廃し、終身独裁を習近平は実現したわけですが、それはもろ刃の剣(つるぎ)で、彼の政権は「強い」と同時に「脆(もろ)い」政権になりました。

 強いのは、政策遂行の独断性と迅速性、すなわち「強権性」であり、脆いのは「反習近平勢力」を増やし、面従腹背の輩(やから)を大勢抱えて、習近平は「誰も信じることができない」状況、すなわち、本当の支援と信頼を得ることができない「孤独性」を自らつくり上げたことです。
 10回近くの暗殺危機を乗り越えてここまできましたが、この先も不安な状況を抱えていると見るべきでしょう。

 それに、彼の健康状態です。2020年末に動脈瘤手術を行い、2週間姿を見せなかったことが大きな話題になり、そのニュースは世界を駆け巡りました。
 何とか持ちこたえて強気の外交を展開するのですが、看板政策の「一帯一路」がつまずいています。

 中国は高金利で発展途上国に融資し、「一帯一路」を促進してきましたが、融資を受けた途上国は債務不履行に陥り、返済ができなくなりました。そこで中国は投資資金を差し押さえる政策を実施し、途上国は一斉に反乱を起こしています。
 正義の味方のように振る舞った中国ですが、弱い者いじめの中国のやり方が全て裏目に出ています。中国は「一帯一路」外交において敵を増やしただけとなりました。

 もう一つの看板である「中国製造2025」は、米国の猛反発を招き、米国との亀裂を深刻なものにする知恵のない戦略で、「米中衝突」の危機増大をさらし出しただけのものになりました。
 習近平の強気政策と言える「一帯一路」「中国製造2025」は、二つとも空振りに終わっている現状です。
 習近平が動脈瘤手術で入院した際には、「国家特別危機管理部」まで設置した中国共産党であることなどを見ると、すでに中国共産党は習近平体制の崩壊後の体制に備えていると見た方がよいでしょう。

 習近平が威信を懸けて成し遂げたいと決意しているのは「台湾奪取」だけです。
 これは他の誰もできないだろうという彼自身の自負があります。なぜなら習近平は、台湾とは目と鼻の先である福建省と深く関わってきた経緯があり、台湾工作を進めてきた経歴の持ち主であるからです。

 従って、台湾奪取は必ず自分の手で実現させるという強固な意志を示しており、もしこれが失敗に終わるならば、直ちに共産党のトップ幹部は習近平の除去に出る可能性があります。
 果たして、台湾奪取ができるかどうか、中国共産党の上層部は静観しているところであり、やらせるだけやらせてみようというのが現在の中国の深層部の姿であると見るならば、台湾奪取を条件に、習近平は彼の独裁の権限を「執行猶予」にしてもらっていると言えるのです。